固定資産税はいつ払う?
納付期限や新築を建てた場合の措置についても解説
家屋や土地などの不動産を購入・所有すると、固定資産税を支払う必要があります。
本記事では、固定資産税をいつ支払うのかについて詳しく解説していきます。実際の納税額や、固定資産税と併せて納付する都市計画税についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
固定資産税とは
固定資産税は、住宅や土地などの固定資産に課される税金です。地方税であるため、納付先は居住している地域の自治体となります。なお、固定資産税と併せて「都市計画税」も支払う必要があります。都市計画税についても確認しておきましょう。
●同時に徴収される都市計画税について
都市計画税は、都市計画事業や土地区画事業への使用を目的にした市町村税(東京23区は都税)です。原則として1月1日現在に市街化区域内の土地や家屋を所有している人に課税されます。
所有している土地や家屋が市街化区域内に該当するかどうかわからない場合は、下記のような方法で調べることができます。
・自治体に問い合わせる
・不動産会社に問い合わせる
・インターネットで「都市計画図 〇〇市」と検索する
なお、都市計画税は、4月~6月に届く納税通知書に従い固定資産税と併せて納税します。
●固定資産税の納税義務は誰にある?
固定資産税は、毎年1月1日時点の固定資産所有者として固定資産課税台帳に登録されている人に課税されます。固定資産課税台帳に登録されていれば所有者とみなされるため、居住していなくても納税しなければいけません。
年度内に固定資産の焼失、減失などがあっても、1月1日時点で所有していれば1年分を納付する必要があります。1月2日に物件を手放したとしても、同年分は全額納税しなければいけません。1月2日以降に物件を購入すれば翌年からの支払いです。ただし、年額を日割りで計算して所有権移転後の税額を買主が売主に支払うケースもあります。
いずれにしても、実際の不動産売買における固定資産税の納付は契約内容によって異なるため、契約書の内容をしっかりと確認しておきましょう。
●固定資産税はいつ払う?
固定資産税は国税ではなく地方税であるため、いつ支払うかは地方自治体によって異なります。詳しい納付のスケジュールは、居住地域を管轄している各自治体の公式サイトや窓口で確認しましょう。基本的には、1年を4回に分けたうえで納付期限が設定されています。
●納付のスケジュール
納付のスケジュールも地方自治体によって異なります。東京都の場合は、6月・9月・12月・2月の年4回に分けて支払います。一括払いを選択することも可能です。4~6月に振込用紙と納税通知書が郵送されてくるので、記載内容に従って支払いましょう。
なお、納税通知書には納税額・納付期限・税額の算定基準となった固定資産税評価額なども記載されています。第1期分の納付時期にまとめて通知書が入っているので、無くさず、大切に保管しておきましょう。
●納付期限を過ぎると延滞金が発生する
固定資産税の納付期限を過ぎると、最大で年14.6%の延滞金が発生します。延滞が長引くほど延滞金も高くなるので、督促状が届いたらすぐにでも納付するようにしましょう。督促状を無視して不払いを続けた場合は、物件や給与を差し押さえられる恐れもあるので注意が必要です。
不要なトラブルを避けるためにも、納付期限までに支払いを済ませましょう。経済的な事情で固定資産税の納付が難しい場合は、早めに自治体の窓口に相談するようにしてください。
固定資産税の対象となる資産
固定資産税の対象となる資産は「土地・家屋・償却資産」です。
・土地
田や畑、山林、宅地、鉱泉地、牧場、雑種地などが該当します。
・家屋
住家、店舗、工場、倉庫などが該当します。
・償却資産
土地や家屋以外の事業用資産です。具体例としては、事務所の機器やパソコンなどが挙げられます。
償却資産は土地や家屋に比べるとわかりにくいので、対象となる主な資産を地方自治体の公式サイトで確認しておくといいでしょう。たとえば、東京都は主税局の公式サイトに、業種別の主な償却資産が掲載しています。
固定資産税の特例措置
住宅用地と新築住宅の固定資産税には特例があります。活用すれば税負担が軽減されるので確認しておきましょう。
●住宅用地の特例措置について
住宅用地の特例は、居住用の敷地として利用する土地に適用される特例です。土地の種類によって、下記のような特例が適用されます。
土地の種類 | 課税標準率 |
一般住宅用地 (住宅用地で200㎡超の部分) |
評価額の3分の1 |
小規模住宅用地 (住宅用地で200㎡以下の部分) |
評価額の6分の1 |
●新築住宅の軽減措置について
新築住宅の軽減措置は、2024年3月31日までに新築を購入すると税率が減額される措置です。減額割合と減額される期間は、住宅の種類と要件によって下記のように異なります。
住宅の種類 | 要件 | 減額割合 | 減額期間 |
一戸建て | 評価額の3分の1 | 税額の1/2 | 3年間 |
マンション (3階建て以上の耐火・準耐火建築物) |
専有部分内の居住部分の床面積と共有部分の床面積をあん分した面積が50㎡以上280㎡以下(貸家の場合は40㎡以上280㎡以下) | 5年間 |
固定資産税の税率と計算方法
固定資産税と都市計画税の計算方法を詳しく見ていきましょう。
●固定資産税
固定資産税の計算方法は「土地、家屋」と「償却資産」によって異なります。
・土地、家屋の固定資産税計算方法
土地・家屋の固定資産税は、下記の計算式で算出します。
新築戸建ての固定資産税算出例を見てみましょう。
このケースでは住宅用地軽減措置の対象となるため、土地の固定資産税が1/6となります。また、新築戸建ての軽減措置として、建物の固定資産税が1/2になります。軽減措置適用後の課税評価額は、下記のとおりです。
この課税評価額をもとに、固定資産税を算出します。
建物の固定資産税:700万円×1.4%=9万8千円
・償却資産の固定資産税計算方法
償却資産の固定資産税は、下記の計算式で算出します。
税率は市区町村によって異なるので、事前に確認しておきましょう。
●都市計画税
都市計画税は、下記の計算式で算出します。課税標準は、固定資産税の課税台帳に登録されている土地と建物の価格を元に算出されます。固定資産税評価額と同様と考えていいでしょう。なお、都市計画税の税率は自治体によって異なります。上限は0.3%です。
固定資産税の支払い方法
固定資産税の主な支払い方法と、それぞれのメリット・デメリットを見ていきましょう。
領収書 | 決済手数料 | |
現金払い(窓口) | 〇 | なし |
口座振替 | × | なし |
クレジットカード | × | あり |
電子マネー | 〇 | なし |
スマートフォン決済アプリ | × | なし |
ペイジー | × | なし |
都税事務所や金融機関の窓口で支払う方法です。手数料はかからず領収証もその場で受け取れます。ただし、窓口に出向く手間と時間がかかります。
・口座振替
口座振替の申し込みをすれば、継続的に口座からの自動引き落としとなります。支払い忘れを防ぎたい人は、口座振替を利用するといいでしょう。引落し前の残高不足には注意が必要です。
・ペイジー
ペイジーマークの付いている納付書は、ペイジーでの支払いに対応しています。自宅からスマホで支払えるため、窓口に出向く手間はかかりません。ただし、ペイジーでの支払いに対応している自治体は限られています。
・クレジットカード
専用サイトが用意されている自治体であれば、クレジットカードでの支払いも可能です。カード会社によっては、独自のポイントが還元されます。引き落とし日までには時間があるため、支払日に資金が不足しているときにも役立つでしょう。なお、各自治体でカード払いの上限が異なるので、事前の確認は必要です。また、1万円につき73円(税別)の決済手数料も発生します。
・電子マネー
コンビニでの固定資産税を支払いに、電子マネーが使える地方自治体もあります。対応している電子マネーは地方手自治体によって異なるので事前に確認しておきましょう。なお、電子マネーで支払えるのは、納付書1枚あたりの合計金額が30万円までとなります。
・スマホ決済アプリ
PayPay、LINE Payなどでも固定資産税が支払えます。対応している地方自治体は限られますが、納付書のバーコードをスキャンして読み取るだけで支払えるのは大きなメリットです。決済手数料も必要ありません。
>> Vol.59 関連コラム「固定資産税をPayPay(ペイペイ)で支払うメリットとは?方法や注意点についても解説!」
このように、さまざまな支払い方法に対応している固定資産税ですが、納付期限を過ぎた場合は、コンビニでの支払いができません。納付期限後に現金で納付したいときには、郵便局を除く金融機関、または、各自治体の窓口で支払います。
クレジットカードやスマホ決済アプリでの納付には対応しているケースもあるので、納付期限を過ぎてしまった場合は各自治体の対応状況を確認しておきましょう。
まとめ
固定資産税は、家屋や土地、償却資産の所有者に対してかかる地方税です。年4回に分けて納税しますが、一括納付も受け付けています。ただし、いつ支払うかに関しては地方自治体によって異なるので、居住している地域の自治体に確認しておきましょう。
固定資産税を延滞すると、高額な延滞金が発生します。未払いを続けていると資産を差し押さえられることがあるので、督促状が届いた時点で納付するようにしてください。
固定資産税は現金以外にも、電子マネーやスマホ決済アプリなどで支払うことができます。選択できる支払い方法は地方自治体によって違うので、事前にチェックしておくことが大切です。