暮らしのコラム

2023年8月4日

新築一戸建てを購入する際に気になるのが固定資産税です。固定資産税は毎年支払うことになり、家計に負担をかけます。固定資産税は減税制度があり、制度を活用すれば税金の負担を減らすことが可能です。
本記事では、新築一戸建ての固定資産税について、減税制度の申請方法や注意点などを詳しく紹介します。

固定資産税の仕組みと計算方法

固定資産税とは固定資産に課税される税金のことです。不動産は固定資産として扱われ、不動産の購入後は毎年固定資産税が課税されます。土地と建物のそれぞれに固定資産税が課税されるのが特徴です。

土地の固定資産税は「固定資産税評価額×税率」によって計算できます。多くの自治体で税率は1.4%です。

建物の固定資産税も土地の場合と同様に「固定資産税評価額×税率」で計算できます。税率は土地の場合と共通です。

たとえば、2,000万円で購入した土地の固定資産税評価額が1,400万円であれば、固定資産税は税率1.4%の場合で19.6万円になります。

不動産における固定資産税の減税制度について

固定資産税には、以下のような減税制度が存在します。
● 軽減措置
● 住宅用地の特例
● 省エネ改修促進税制
● バリアフリー改修促進税制
● 耐震改修促進税制
● 長期優良住宅化リフォーム
● 農地への転用
それぞれの減税制度について、減税内容と減税要件を紹介します。

軽減措置

軽減措置とは2024年3月31日までに新築された住宅に関して、要件を満たした場合に固定資産税が軽減される制度です。
軽減措置の詳しい点を解説します。


軽減措置の減税内容

固定資産税の軽減措置は、2024年3月31日までに所有した新築住宅について、戸建ては3年間、マンションは5年間にわたり固定資産税が1/2に減額されます。ただし、いずれも床面積が50~280㎡に限定されているのが特徴です。


軽減措置の減税要件

建物に関する固定資産税の軽減措置は、新築建物の居住用部分の床面積の割合が1/2以上あることに加え、床面積が50~280㎡の場合に適用可能です。2024年3月31日までに新築された建物に限ります。
一般的な新築一戸建ての住宅であれば、居住面積は50~280㎡の範囲内に含まれるでしょう。

住宅用地の特例

軽住宅用地の特例とは、住宅のある土地の固定資産税を軽減する制度のことです。


住宅用地の特例の減税内容

住宅用地の特例は、住宅用地の200㎡以下の部分は1/6に、200㎡を超える部分は1/3に固定資産税の課税標準額が減額される制度です。減額した価格を課税標準額として扱い、実際の固定資産税を計算します。
また、住宅用地の特例では都市計画税も減税されます。住宅用地の200㎡以下の部分は1/3、200㎡を超える部分は2/3に都市計画税の課税標準額が減税される制度です。
課税標準額が減額されることで、結果的に固定資産税や都市計画税の減税につながります。


住宅用地の特例の減税要件

新築一戸建てで購入した土地については、住宅用地の特例の適用が可能です。住宅を建てる目的で取得した土地は住宅用地とみなされます。
注意点として、併用住宅の場合は、住宅として利用している部分の割合で住宅用地の面積を決めるルールです。住宅の一部を店舗などに利用している場合は併用住宅と扱われます。
また、住宅用地の特例が適用されるのは、住宅の総床面積の10倍までの土地が対象です。

省エネ改修促進税制

省エネ改修促進税制は省エネ改修工事を行った場合に固定資産税が減額される制度です。
省エネ改修工事とは、以下の工事が含まれます。
● 窓の断熱改修工事(必須)
● 床の断熱工事、天井の断熱工事、壁の断熱工事
● 太陽光発電装置の設置工事
● 高効率空調機の設置工事、高効率給湯器の設置工事、太陽熱利用システムの設置工事
窓の断熱改修工事は省エネ改修促進税制の適用を受けるために必須の工事です。窓の断熱改修工事に加えて、床の断熱工事や太陽光発電装置の設置工事などをあわせて行う場合も、制度を適用できます。


省エネ改修促進税制の減税内容

省エネ改修促進税制を利用すると、省エネ改修工事を行った翌年分の固定資産税額が1/3に減額されます。


省エネ改修促進税制の減税要件

省エネ改修促進税制を利用するための要件は、省エネ改修工事費用が60万円を超えることです。賃貸住宅には適用できません。2014年1月1日以前から所在している住宅にのみ適用できます。改修工事の時期は2024年3月31日までのものに適用可能です。
省エネ改修工事を行った後で床面積が50~280㎡の住宅にのみ適用できます。工事後の住宅の床面積の半分以上が居住用の家屋であることも要件です。

バリアフリー改修促進税制

バリアフリー改修促進税制はバリアフリー改修工事を行った場合に固定資産税を減額できる制度です。


バリアフリー改修促進税制の減税内容

要件を満たすと、バリアフリー改修工事を行った翌年分の固定資産税が1/3に減額されます。


バリアフリー改修促進税制の減税要件

所定のバリアフリー改修工事で、補助金などの額を引いた後の工事費用が50万円を超える場合にのみバリアフリー改修促進税制を利用できます。
対象となるバリアフリー工事は車いすのための通路の拡張工事や階段の設置、浴室の改良工事などです。多岐に渡る工事が対象に含まれています。
新築して10年以上経過した家屋で、バリアフリー改修後の床面積が50~250㎡であることが要件です。バリアフリー改修工事が2024年3月31日までに完了したものだけが減税制度を利用できます。

耐震改修促進税制

耐震改修促進税制を利用すると耐震改修工事を行った場合に固定資産税が減額される制度です。
耐震改修工事とは、主に基礎や壁の耐震補強工事を指します。現行の耐震基準に適合する工事でなければ、制度の適用はできません。


耐震改修促進税制の減税内容

耐震改修促進税制を適用すると耐震改修工事を行った家屋について、翌年分の固定資産税を120㎡相当分までに限り1/2に減額できます。


耐震改修促進税制の減税要件

耐震改修促進税制の要件は、1982年1月1日以前から所在する住宅であることです。耐震改修費用が50万円を超える場合にのみ適用できます。ただし、改修工事は2024年3月31日までに完了している必要があります。

長期優良住宅化リフォーム

長期優良住宅化リフォームの減税内容と減税要件を紹介します。


長期優良住宅化リフォームの減税内容

長期優良住宅化リフォームでは、特定の省エネ改修工事を行った場合に翌年分の固定資産税が2/3減額されます。固定資産税の減額の対象は住戸の床面積が120㎡までの部分です。


長期優良住宅化リフォームの減税要件

長期優良住宅化リフォームの要件は床面積が50~280㎡であることです。併用住宅の場合は、居住部分の床面積が1/2以上であることが要件になります。
長期優良住宅化リフォームの対象となる工事は、耐久性向上改修工事です。小屋裏の換気性を高める工事や外壁を通気構造とする工事、土台の防腐・防蟻工事などが含まれます。

農地への転用

農地への転用の制度を利用する際の減税内容や減税要件を紹介します。


農地への転用の減税内容

更地を農地に転用した場合は固定資産税が減税されます。農地の固定資産税は「固定資産税評価額×税率」と「前年度の課税標準額×負担調整率×税率」のうち少ない額が適用されるのが特徴です。
負担調整率は負担水準に応じて1.025~1.1の間で決まります。負担調整率が適用されることで固定資産税が軽減されるのが特徴です。
また、農地の評価額は一般的に宅地よりも低いため、農地への転用によって固定資産税が安くなる傾向があります。


農地への転用の減税要件

農地への転用ができるのは、実際に作物を栽培している、あるいはいつでも耕作を始められる状況にある土地に限定されます。固定資産税の減額のために、栽培をしていない土地や耕作できる状況にない土地を農地として扱うことはできません。たとえば、空き家を解体して更地にするだけでは農地として認められないです。

新築一戸建てに適用できる減税制度

新築一戸建てに対して適用できる減税制度は以下の2つです。
● 軽減措置
● 住宅用地の特例
それぞれについて固定資産税を減税する際の計算方法を紹介します。

固定資産税を減税するときの計算方法

固定資産税の軽減措置では、新築住宅の建物に関する固定資産税が1/2に減額されます。計算方法は「当該年度の住宅に関する固定資産税×1/2」です。
住宅用地の特例では、土地に関する固定資産税の課税標準額が200㎡以下の部分は1/6、200㎡を超える部分は1/3に減額されます。
たとえば、評価額1,800万円で300㎡の土地に住宅用地の特例を適用する場合、は以下のとおりになります。

・200㎡の部分:1,200万円の1/6で評価額が200万円
・残り100㎡の部分:600万円の1/3で評価額が200万円
したがって、住宅用地の特例を利用することで、土地の評価額は400万円と大幅に減額されるのです。

固定資産税の減税制度を申請する方法

新築住宅の固定資産税の軽減措置を適用するには、住んでいる自治体に「固定資産税減額申告書(新築住宅)」を提出する必要があります。自治体の公式サイトでダウンロードですが、自治体によって書類の名称が異なる場合があるため確認しておきましょう。
住宅用地の特例を申請するには、「固定資産税住宅用地申告書」を自治体に提出します。家屋の新築または増築した場合や住宅を立て替えた場合などに「固定資産税住宅用地申告書」を提出しなければいけません。

固定資産税の減税で押さえておきたいポイント

固定資産税を減税する場合は、以下の2点を押さえておきましょう。
◎ 事前に減税される要件を確認する
◎ 固定資産税に誤りがある場合は訂正する
それぞれ詳しく解説します。

事前に減税される要件を確認する

固定資産税の減税制度は多岐に渡ります。それぞれの制度について、減税内容や減税要件は大きく異なっているため注意しましょう。事前に適用したい制度について減税要件を詳しく確認しておくことが大切です。

たとえば、新築一戸建てで固定資産税の軽減措置を受けるには、居住部分の割合が1/2以上であること、居住部分の床面積が50~280㎡であることが要件になります。また、2024年3月31日までに新築された住宅にしか適用されません。

新築一戸建ての土地について住宅用地の特例を受けるには、住宅の総床面積の10倍までの土地が対象になります。併用住宅については、家屋として利用されている敷地に対してのみ住宅用地の特例を適用可能です。


固定資産税に誤りがある場合は訂正する

固定資産税に誤りがある場合は訂正の手続きをしましょう。固定資産税は固定資産税評価額をもとにして決めます。固定資産税評価額は担当職員が人為的に計算するため、ミスが生じることは少なくありません。
毎年、自治体から固定資産税納税通知書が送付されます。納税通知書を確認に記載された固定資産税額が正しいものか、自分で計算をして確認しておきましょう。

固定資産税の軽減措置や住宅用地の特例などについては書類を提出しないと適用されませんが、書類を出し忘れたケースでも、後から還付を受けることはできます。
固定資産税の誤りについては、自治体で固定資産税を管轄している部署に相談しましょう。都税事務所や県税事務所、市税事務所などが担当しています。誤りがあったことを証明する必要があるため、事前に準備しておきましょう。心配な方は、税理士など専門家への依頼を検討するのもおすすめです。

固定資産税を支払う方法と手段について

新固定資産税は1月1日時点で所有する不動産について課税され、4月~6月に納税通知書が届きます。納税通知書に同封されている納付書によって支払いが可能です。都税事務所や金融機関の窓口、コンビニなどで支払えます。
固定資産税の支払い方法は以下のとおりです。
◎ 現金
◎ 口座振替
◎ クレジットカード
◎ 電子マネー
◎ スマートフォン決済アプリ
◎ ペイジー

事前に口座振替の手続きを済ませておくと口座から自動引き落としされます。残高不足に注意すれば、支払い忘れるのを防げるため便利な方法です。

自治体によっては専用サイトでクレジットカード決済ができます。カード会社によってはポイント還元されるのがメリットです。注意点として1万円につき73円の手数料が発生します。
コンビニで固定資産税を支払う際に電子マネーを使える自治体もあります。ただし、電子マネーで支払えるのは納付書1枚につき30万円までです。
一部の自治体ではPayPayやLINE Payなどのスマートフォン決済アプリで支払いができます。納付書のバーコードをアプリでスキャンして支払うシステムです。

納付書にペイジーマークがついている場合は、ペイジーによって支払いができます。ただし、ペイジーに対応しているのは一部の自治体のみです。
Vol.58 関連コラム「固定資産税はいつ払う?納付期限や新築を建てた場合の措置についても解説
Vol.59 関連コラム「固定資産税をPayPay(ペイペイ)で支払うメリットとは?方法や注意点についても解説!

まとめ

新築一戸建てを購入する際には、新築住宅の軽減措置や住宅用地の特例を利用することで固定資産税を減税できます。固定資産税の負担は大きいため、本記事を参考に適用できる減税制度はすべて活用して、可能な限り固定資産税を減らすことをおすすめします。

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