暮らしのコラム

2022年12月9日

隙間をなくし、熱の出入りを抑えて快適な住まいに

新築物件を探し始めると、一度は目にする「高気密・高断熱」という言葉。「夏は涼しく、冬は暖かい」「冷暖房費が節約できる」といったメリットの反面、「価格が高い」「息苦しい」「首都圏ではそこまでの性能は必要ない」といった先入観を持つ方もいるかもしれません。そこで今回は家を購入する前に知っておきたい、高気密・高断熱のメリットとデメリットについて解説します。

まず「高気密」「高断熱」という2つの言葉についてご説明します。「高気密」とは壁の内側や床下に気密シート、気密テープ、高気密サッシなどを用いて、できるだけ隙間をつくらないようにしている仕様のことです。壁や床などにわずかな隙間でもあると、空気や熱が家の内外を出入りして、外気の気温の影響を受けやすくなってしまいます。高気密の仕様にすることで、室内の環境を守りやすくなり、冷暖房が効きやすい家になります。

「高断熱」とは、外界に面した壁や天井、床などに断熱材を施工したり、断熱効果の高い窓を設置したりすることで、熱の出入りを抑えた仕様のことです。外の気温が伝わりにくいので、夏は涼しく冬は暖かい室内環境を実現できます。よく魔法瓶に例えられますが、冷たいものは冷たいまま、温かいものは温かいままを保つので、一年を通して過ごしやすい住まいとなります。

冷暖房効果を高める「高気密」、室内の温度変化を小さくする「高断熱」という2種類の性能を組み合わせることで、冷暖房への依存を減らし、室内環境を快適にすることができるというわけです。

光熱費削減、安定した室内環境、健康的な暮らしが得られます

高気密高断熱の住まいでまずメリットに挙げられるのは光熱費の削減です。断熱の基準が初めて法的に制定された1980年以前には無断熱の状態の家が建てられていました。国土交通省の調査によるとそうした無断熱の住宅と比べて、現在の省エネ基準で建てられた住宅は冷暖房の消費電力を半分以下に減らすことができることが示されています。

また高気密・高断熱の家は、隙間を小さくして外界の影響を受けにくくしているため、遮音性が高くなることも特徴です。交通騒音などが室内に入りにくく、室内からの音も外に漏れにくくなります。静かで落ち着いた環境で暮らすことができるうえ、音楽や映画などを気兼ねなく楽しみやすくなります。お子さんがいらっしゃるご家庭も安心ですね。

最近、注目されているのは、健康へのメリット。室内の温度・湿度が心身に最適な状態に保ちやすいので、病気になりにくいということがわかってきました。部屋と廊下の室温差が少ない高気密・高断熱の住まいでは、急激な温度変化で血圧が変動し、体に悪影響を及ぼす「ヒートショック」のリスクも格段に小さくなります。

誤解や思い込みで高性能な家を避けるのはもったいない

高気密・高断熱の住まいは、世界的に推奨されており、日本においても太陽光発電でエネルギーを自給自足する「ZEH(ゼロ・エネルギー・ハウス)」の普及が推進され、住宅性能表示制度の断熱基準も新たに「断熱7」まで設けられました。これからのスタンダードになっていくことは間違いありません。

しかしまだ誤解や思い込みで高気密・高断熱の仕様を軽視したり、避けたりする例も散見されるようです。よくある誤解についてご説明します。

・性能が高いと価格も高くなる
確かに無断熱の住宅と比べれば、気密や断熱の施工が加わる分だけ、高価になることは間違いないでしょう。しかし、現在の断熱基準で建築した家であれば、性能を高くしても資材や施工手間の差はそれほど大きくなりません。ポラスがご提供する分譲住宅の場合、資材は大量に仕入れてコストダウンしていますし、高性能住宅の施工にも豊富なノウハウがあり、高気密・高断熱は標準的な仕様になっています。高性能は当たり前であり、特別に高価なものにはなりません。高性能であるほど省エネ効果も高くなるので、光熱費の削減も大きくなり、コストパフォーマンスのいいお住まいになると言えます。

・高気密だと息苦しくなる
高気密にすれば家の隙間は確かに小さくなります。しかし、現在の住まいは24時間換気設備の設置が義務付けられているので、「息苦しくなる」ということはありえません。隙間風による邪魔がないため、窓やドアを開閉することによる自然換気も効率よく行われます。床下や壁内のほこりやカビなどを含んだ隙間風が入ってくる低気密の家よりも、きちんと気密をとって換気が適切に行われる分、むしろ室内の空気は新鮮です。

・高気密・高断熱の家は窓を開けられない
高性能な住宅では、真冬や真夏の場合、冷気や熱気をシャットアウトするためにも窓はしっかりと閉めたほうが快適な環境をつくることができます。しかし、春や秋など気候のいい時期には窓を開けて換気して、自然な風を取り入れるのも気持ちのいいものです。日本には豊かな四季があるので、その時々に応じて窓を開け閉めして、自分たちにとって心地のいい環境をつくればよいのです。

暖房方法や換気設備のメンテナンスには注意を

メリットのたくさんある高気密・高断熱の住まいですが、その性能を十分に発揮させるためには、いくつかの注意点があります。

・燃焼ガスの出る石油ヒーターや灯油ストーブは使わない
多くの換気を必要とするヒーターやストーブを使用すると省エネ効果が低下します。燃焼ガスが室内にこもると健康にもよくありません。エアコンや床暖房、電気ストーブなど、空気を汚さない暖房を使うようにしましょう。

・換気装置は止めない
高気密高断熱住宅は、換気設備によって換気が計画的に行われるように設計されています。換気装置を止めると、汚れた空気を排出できない、結露が発生する、など住宅の性能が落ちてしまいます。

・換気設備は定期的に清掃する
高気密高断熱住宅では、換気設備の給気口やフィルターなどが詰まると、必要な換気ができなくなくなります。換気設備はマニュアルにしたがって定期的にフィルター等をお手入れしましょう。

以上の点に気を付けて生活すれば、高気密・高断熱の家で快適で健康な暮らしを満喫することができます。

用地募集
☆新着物件 物件を探す
このページのトップへ戻る