一戸建ての固定資産税はいくら?
平均額や抑える方法について解説
一戸建て住宅を購入すると、固定資産税を支払う必要があります。土地と建物は別々に課税されるため、固定資産税の総額がいくらになるのか知りたいという方も多いのではないでしょうか。
税額は土地の広さや建物の築年数、新築・中古などによって変わります。そこで今回は、一戸建ての固定資産税の平均額がいくらになるのかを紹介していきます。
評価額の調べ方や具体的な計算方法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
一戸建ての固定資産税の平均額はいくら?
一戸建ての固定資産税は平均で10万円~15万円前後です。ただし、この金額は「目安」として考えるようにしましょう。
固定資産税の標準的な税率は1.4%ですが地域によっても異なります。また、築年数や使用されている建築資材の種類によっても変わります。
そのため、所有している土地や建物の広さが同じであっても、居住地域によって固定資産税の額は変わります。
なお、地方税である固定資産税の税額は、地方自治体が調査・算出します。確定申告のように自分で計算する必要はありません。
固定資産税は変動する?
一戸建ては新築・中古を問わず土地の固定資産税額は変わりません。ただし、地価の高騰によって土地の評価額が上がると、固定資産税も高くなる可能性はあります。
なお、建物は条件によって税金が安くなりますが、築年数がどんなに経過しても税額はゼロになりません。たとえば、木造一戸建ての場合は築10年ほどで税額が約1/2になり、築25年ほどで下限に達します。
一戸建ての固定資産税の計算方法
一戸建ての固定資産税は、土地と建物で計算方法が異なります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
土地の計算方法
土地の固定資産税は、以下の計算式で算出されます。
標準的な税率は1.4%です。土地の固定資産税評価額は、各自治体が路線価を基準にして定めますが、公示価格の70%に調整されるのが普通です。
たとえば、2,000万円で購入した土地の固定資産税評価額は「2,000万円×70%=1,400万円」と考えていいでしょう。そのため、この土地の固定資産税額は「1,400万円×1.4%=196,000円」となります。
なお、土地の固定資産税評価額は、以下のような方法でも調べることができます。
課税明細書
自治体から届く固定資産税の納税通知書に添付されています。明細の「価格」という欄に記載されているのが固定資産税評価額です。
固定資産課税台帳
各自治体の役所で閲覧できます。東京23区は都税事務所で閲覧可能です。
固定資産評価証明書
役所で入手できる証明書類です。詳しい取得方法は、各自治体のホームページで確認できます。
建物の計算方法
建物の固定資産税は、以下の計算式で算出されます。
税率は自治体によって異なりますが、標準的には1.4%です。
固定資産税台帳に記載されている価格は、物件の建築価格とは異なります。納税義務者や同居家族は市町村の担当部署で固定資産課税台帳を閲覧できるので、事前に確認しておくといいでしょう。
一般的に、新築戸建ての税率は建築価格の約60%とされています。建築費が1,500万円の新築戸建てであれば、「1,500万円×60%=900万円」が固定資産課税台帳に記載されている価格と考えていいでしょう。そのため、この建物の固定資産税額は「900万円×1.4%=126,000円」となります。
一戸建ての固定資産税は軽減措置で抑えられる
一戸建ての固定資産税には、土地・建物それぞれに減税措置があります。
土地の軽減措置
土地の軽減措置は、土地の広さによって以下のように異なります。
対象となる土地 | 課税標準額 |
小規模住宅用地 (住宅1戸につき200㎡以下の部分) |
評価額の1/6 |
一般住宅用地 (200㎡を超える部分) |
評価額の1/3 |
たとえば、固定資産税評価額が1,400万円の小規模住宅用地は、課税標準額が「1,400万円×1/6=約233万円」となります。固定資産税額は「233万円×1.4%=約32,000円」です。
土地の軽減措置に期限は設けられていませんが、自動的に適用されるわけではないので注意しましょう。軽減措置を利用したい場合は、翌年の1月31日までに「固定資産税の住宅用地等申告書」を作成して役所に提出する必要があります。
新築住宅は2024年まで軽減延長
床面積が50㎡以上280㎡以下の新築住宅は、以下の軽減制度を受けられます。
対象となる住宅 | 課税標準額 | 期間 |
一般住宅 | 評価額の1/2 | 3年間 |
長期優良住宅 | 5年間 |
軽減措置が適用されるのは「2024年3月31日までに新築された住宅」です。
たとえば、固定資産税評価額が900万円の一般住宅は、「900万円×1/2=450万円」になります。固定資産税額は「450万円×1.4%=63,000円」です。
軽減制度による住宅の軽減措置も、自動的に適用されるわけではありません。適用したい場合は、管轄している役所に申請する必要があります。ただし、東京都などでは申請不要で一般住宅に軽減措置が適用されます。
長期優良住宅への適用は申請が必須です。申請期限は、新築した翌年の1月31日となります。期限を過ぎると軽減措置が適用されなくなるので、早めに申請するようにしましょう。
固定資産税が発生する時期と支払い方法
固定資産税が発生するタイミングと、税金の支払い方法を確認していきましょう。
固定資産税の納税時期
固定資産税を納付する義務があるのは、「その年の1月1日時点で物件を保有している人」です。そのため、物件を購入した日が1月2日以降なら、その年は納付する義務がありません。逆に、1月2日以降に物件を手放した場合は納付する必要があります。
中古の一戸建てを購入した場合でも、納税義務者は1月1日時点で物件を保有している人になります。しかし、売却した前オーナーは、売却時点で物件を保有していないにもかかわらず固定資産税を納付することになります。
そのため、売買成立後の固定資産税は日割り計算したうえで、買い主が売り主に清算する方法が一般的となっています。そのため、中古の一戸建てを購入したとき固定資産税は、買い主側に購入した時点から発生します。
固定資産税は地方税なので納付時期は自治体によって異なりますが、6月・9月・12月・2月の年4回に分けて支払うのが一般的です。一括払いも可能ですが、割引などはありません。
年4回に分けて支払う場合は、指定された月までに支払えれば問題ないため、納付書が届いてからすぐに納税してもOKです。
固定資産税の支払い方法
固定資産税の支払い方法は多岐にわたります。
・現金払い
・口座振替
・ペイジー支払い
・クレジットカード
・電子マネー
・スマホ決済
各支払い方法の特徴やメリットを詳しく見ていきましょう。
現金払い
都税事務所や金融機関の窓口、コンビニなどで現金納付する方法です。納付書を持参するだけで簡単に支払えるのが大きなメリットと言えるでしょう。事前の手続きは不要で手数料もかかりません。ただし、コンビニでは納付書1枚あたり30万円が上限となるため、納税額が大きい場合は他の窓口を利用する必要があります。
指定した銀行口座から引き落とされる方法です。金融機関の口座を登録する手間はかかりますが、支払い忘れの心配はなくなるでしょう。口座の登録方法は納付書と併せて送られてきます。特に難しい手続きはありません。ただし、口座振替の申込期限は振替日の1か月前程度に設定されているケースが多いため、間に合うように申し込みをしましょう。
インターネットバンキングやペイジー対応のATMで納税する方法です。ペイジーマークが付いた納付書であれば、自宅や最寄りのATMで納付できます。
クレジットカードでの納付に対応している自治体も少なくありません。支払い金額に応じてカード会社のポイントが付与されるので、現金払いや口座振替になどに比べると実質的な支払い金額が安くなります。ただし、税金の納付には手数料がかかるため、手数料と還元ポイントを比較したうえで支払い金額を何で支払うかを判断しましょう。
固定資産税は、電子マネーでの納付も可能です。税金の支払いはポイント付与の対象外となるケースも多いですが、クレジットカード一体型であれば、チャージ額に応じたポイントが付与されるというメリットがあります。クレジットカード納付のような手数料も発生しません。
スマホ決済アプリで納付する方法です。対応している自治体は限られますが、スマホアプリからバーコードを読み込むだけで納付が完了するので手軽です。近年では、PayPayでの支払いに対応している自治体もあります。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
>> Vol.59 関連コラム「固定資産税をPayPay(ペイペイ)で支払うメリットとは?方法や注意点についても解説!」
まとめ
一戸建ての固定資産税額は、平均で10万円~15万円です。ただし、さまざまな条件によって税額は変わってくるため、あくまでも「目安」として考えるようにしてください。
固定資産税の税率は自治体によって異なりますが、標準的には1.4%です。課税対象は固定資産評価額で、土地や建物の取得価格とは異なります。
税額が安くなる軽減措置もあるので、適用条件を確認したうえで、所有している土地や建物の税額を算出するようにしましょう。
納税方法は現金払いのほかにも口座振替やクレジットカード、スマホ決済などがあるので、自分にとって支払いやすい方法を選択できます。