暮らしのコラム

2023年5月26日

住宅ローン控除とふるさと納税を併用!控除の方法と損しないための注意点



家を購入するにあたり、家計の負担をいかに減らせるかと考える方は多いかと思います。
住宅ローン控除とふるさと納税は、節税の手段として個人にとって魅力的な制度です。しかし、両者を併用する際には注意すべきポイントがあります。併用によるメリットを最大化するためにも、控除の条件や制約を正しく理解しておきましょう。

本記事では、住宅ローン控除とふるさと納税の適切な併用方法と、節税に役立つ注意点について詳しく解説します。これから家を購入しようと検討している方はぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除とふるさと納税の仕組みとは

まずは、住宅ローン控除とふるさと納税の仕組みを確認しておきましょう。

住宅ローン控除の仕組み

住宅ローン控除とは、住宅を購入・建設するために借り入れた住宅ローンを所得から控除する制度です。住宅ローンの一部が所得から差し引かれることによって所得税額が減額されるため、家計の負担を軽減できます。

住宅ローン控除を受けるには、さまざまな条件があります。

・自分の居住用の住宅
・引渡し、または、工事完了から6か月以内に入居
・住宅ローンの返済期間が10年以上 など 控除の適用条件は多岐にわたるため、利用を検討している場合は国土交通省や国税庁の公式サイトで確認しておきましょう。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税とは、居住している自治体に納める税金を、任意の地方自治体に寄付できる制度です。ふるさと納税を利用しても所得税や住民税が控除されます。

出身地や思い入れのある地域に寄付をすれば地域の活性化に貢献できるだけではなく、寄付額に応じた返礼品や特典も提供されます。

控除を受けられる上限は給与収入や家族構成などによって異なりますが、最低でも「寄付金から2,000円を引いた額」は控除されます。そのため、活用次第では自己負担額2,000円で応援したい地域の特典を入手することも可能です。

ふるさと納税の控除を受けるための手続き方法

ふるさと納税の控除を受けるための手続き方法には「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2種類があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

確定申告

ふるさと納税は寄付行為であるため、所得控除を受けるには確定申告が必要です。確定申告を行なえば、寄付金額に応じた所得控除を受けられます。申告期限は、ふるさと納税を行った翌年の3月15日です。

申告の流れは以下となります。

1.応援する自治体を選ぶ
2.受領書を受け取る
3.確定申告を行なう
4.当年の所得税が控除される
5.翌年度分の住民税が控除される

ワンストップ特例制度

ワンストップ特例制度は、ふるさと納税の手続きを簡素化して控除を受けられる制度です。ワンストップ特例制度は確定申告不要な給与所得者等で、ふるさと納税を行う自治体の数が5団体以内である場合に限って利用できます。

具体的な手順は、以下のとおりです。

1.応援する自治体を選ぶ
2.ふるさと納税を行なう
3.控除額の全額が翌年度の住民税から控除される

手順「2」でふるさと納税をする際に「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」が必要になります。申請書の入手方法は自治体によって異なるので事前に確認しておきましょう。

住宅ローン控除とふるさと納税が併用できる理由

住宅ローン控除とふるさと納税は原則として併用できます。

住宅ローン控除は、自己居住用住宅の借入に関する控除です。控除の対象となる金額は所得税から差し引かれるため、年度ごとの確定申告時に適用されます。

一方、ふるさと納税は地方自治体に対して寄付を行い、特例的な税制上の優遇措置を受けて住民税が控除される制度です。

つまり、住宅ローン控除は所得税から優先的に引かれ、ふるさと納税は住民税から引かれるということです。ただし、ふるさと納税で住民税のみ控除されるようにするためには、ワンストップ特例制度を利用する必要があります。

また、どちらの控除額にも上限が設定されているため、場合によっては控除しきれなくなる可能性があります。

住宅ローン控除とふるさと納税の併用時の注意点

住宅ローン控除とふるさと納税の併用時の注意点を確認しておきましょう。

住宅ローン控除の初回は確定申告が必須

住宅ローンとふるさと納税を併用する際に注意すべきポイントは、次の2つです。

1.住宅ローン控除を利用するには初年度に確定申告をする必要がある
2.ワンストップ特例制度は確定申告をしない場合に限って利用できる

上記の条件があるため、住宅ローンの利用初年度はワンストップ特例制度を利用できません。住宅ローン控除の初回は確定申告が必須ということになります。

確定申告時は控除額に影響がでる可能性あり

住宅ローン控除の利用2年目以降であっても、住宅ローン控除以外の確定申告時にはワンストップ特例制度を利用できません。
確定申告が必要になるケースとしては、下記のような例が考えられます。
・医療費控除
・給与収入が2,000万円を超える会社員
・副業収入が20万円を超えたとき
・事業所得や不動産所得があった場合
など
たとえば、年間に支払った医療費が一定額を超えると「医療費控除」を受けられますが、控除を受けるには確定申告をする必要があります。
しかし、ワンストップ特例制度は確定申告をすると利用できないため、医療費控除とは併用できず控除額に影響が出る可能性があります。

住宅ローン控除とふるさと納税を併用した計算方法

ここからは、住宅ローン控除とふるさと納税を併用した計算方法を、「確定申告をした場合」と「ワンストップ制度を使った場合」に分けて紹介します。

確定申告をしたときのシミュレーション

確定申告をした場合の計算方法は、以下のとおりです。

所得税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
※控除上限は総所得額等の40%

住民税からの控除=(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率
※控除上限は総所得金額等の30%
たとえば、所得税率10%で70,000円をふるさと納税した場合、所得税からの控除額は下記となります。

(70,000-2,000)×10%=6,800円


上記の金額が所得税の基礎控除に追加されるということです。

ただし、この方法で算出される額は大まかな数字になるので、具体的な計算については、お住まいの市区町村へ問い合わせることをおすすめします。

ワンストップ制度を使ったときのシミュレーション

ワンストップ特例制度をした利用した場合の計算方法は、以下のとおりです。

住民税からの控除額=基礎控除額+特例控除額+申告特例控除額※1
※1申告特例控除額=特例控除額×規定割合×控除割合


ワンストップ特例控除制度を利用しても確定申告をした場合と控除額に差はありませんが、所得税ではなく住民税からの控除となります。控除額に差が出るかどうかは、年収や配偶者の有無などによって変わります。制度特有のものではありません。

そうであれば、どちらの制度を利用しても構わないように思えますが、確定申告では所得税額が大幅に少なくなるケースも予想され、その場合は使い切れない住宅ローン控除も増えるので、ワンストップ特例制度を利用したほうが得になる場合もあります。

いずれにしても、「節税の効果は年収や家族構成、住宅ローン残高などによって変わる」と覚えておきましょう。 医療費控除は、1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合に所得控除が受けられる制度です。どちらの制度も活用次第で課税所得を減らすことができ、住宅ローン控除とも併用できます。

ただし、控除額が大きくなると、住民税の控除上限を超える可能性があるので注意が必要です。また、iDeCoや医療費控除を利用して課税所得を下げると控除の上限額も減少します。

住宅ローン控除との併用を検討する場合は、事前に条件や上限額などを確認して節税効果が薄れてしまわないかどうかを確認しておきましょう。

まとめ

住宅ローン控除とふるさと納税を併用すれば、単体で利用するよりも節税に役立つ可能性があります。個別の条件や制約によって控される金額は異なるので、事前に確認しておいた方がいいでしょう。

ふるさと納税の控除を受けるための手続きは「確定申告」と「ワンストップ特例制度」の2種類です。ただし、節税効果が高い方法は諸条件によって変わります。

なお、住宅ローン控除はiDeCoや医療控除とも併用可能です。ただし、場合によっては控除の上限額が減少して節税効果が薄れてしまうので、事前に確認しておきましょう。
住宅ローン控除はふるさと納税以外にもいくつかの節税制度と併用できるため、家を購入する際には、家計の負担を減らすための方法として覚えておきましょう。
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