建売(分譲)住宅購入にかかる諸費用はいくら?
内訳や安く抑えるポイントも!
建売(分譲)住宅購入時は、物件の価格だけではなく、各種手数料などの諸費用がかかります。
購入を検討している方の中には、その諸費用がどれくらいかかるのか、不安に感じている方もいるでしょう。
購入の際は物件価格プラス諸費用で予算を組む必要がありますが、インターネットで新築一戸建て分譲サイトを見ても、諸費用までは掲載されていません。
本記事では、建売(分譲)住宅を購入する上で必要な諸費用について、その内訳と目安などを解説していきます。
諸費用を安く抑えるポイントもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
建売(分譲)住宅の購入には様々な諸費用がかかる!
建売(分譲)を購入する際、資金計画を建てる上で考慮しておかなければならないのが、物件価格以外にも、様々な諸費用がかかるということです。
建売(分譲)住宅の諸費用は、一般的には目安として物件価格の5〜10%が別途かかると言われています。
例えば、4,000万円の物件であれば約200〜400万円の諸費用がかかるということになりますので、その分も意識した資金計画とする必要があるということです。
諸費用の額は、住宅ローンを組む金額や、火災保険をどの保険会社で組むかなど、様々な要素によって費用が変わるため、上記のように相場には幅があるでしょう。
また、その諸費用の項目によっては基本的に現金で用意をしなければならない場合もありますので、その点も注意が必要です。
建売(分譲)住宅にかかる諸費用の内訳:購入前
ここからは、建売(分譲)住宅購入時にかかる様々な諸費用について、その諸費用項目の発生タイミングごとに分けてご紹介していきます。
諸費用が発生する段階として、
● 購入前
● 購入時
● 住宅ローン借入時
の3つのタイミングがあります。
まずは、契約までの期間である「購入前」に生じる諸費用として、印紙税があります。
印紙税
印紙税とは、物件の「売買契約書」や金融機関との「金銭消費貸借契約書」に貼付する印紙にかかる税金です。
具体的には下記の税額が課されます。
| 記載された契約金額 | 印紙税額 (令和9年3月31日までの間に作成される契約書の軽減措置) |
| 1千万円を超え5千万円以下 | 20,000円(10,000円) |
| 5千万円を超え1億円以下 | 60,000円(30,000円) |
| 1億円を超え5億円以下 | 100,000円(60,000円) |
また、表にも記載している通り、物件の売買契約書には、令和9年3月31日までの間に作成される契約書に限り軽減措置があります。
ただし、金融機関との金銭消費貸借契約書には軽減措置はありませんので注意が必要です。
(参考:国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置)
建売(分譲)住宅にかかる諸費用の内訳:購入時
次に、建売(分譲)住宅の購入時にかかる主な諸費用です。
● 仲介手数料
● 表題登記費用・司法書士依頼料
● 不動産取得税
● 固定資産税・都市計画税
各諸費用の概要や相場について、詳しく解説していきます。
| 費用の項目 | 金額の目安・算出方法 |
| 仲介手数料 | 物件価格×3%+6万円+消費税(上限) |
| 登録免許税(表題登記費用) | 物件の固定資産税評価額 × 0.4% (軽減税率適用の場合×0.15%) |
| 司法書士依頼料 | 10万円前後 |
| 不動産取得税 | 0円~課税標準額の3% |
| 固定資産税・都市計画税 | 固定資産税:固定資産税評価額×1.4% (新築住宅特例適用の場合2分の1に減額) 都市計画税:固定資産税評価額×0.3% |
仲介手数料
仲介手数料とは、建売(分譲)住宅を仲介した不動産会社に支払う手数料を指します。
不動産会社は条件の調整や各種事務を行うために買主と売主の間に仲介として入るため、それに対する手数料を支払う必要があります。
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業法で以下のとおり決められています。
| 物件価格 | 報酬額(税別) |
| 200万円以下 | 物件価格の5% |
| 200万円を超え400万円以下 | 物件価格の4% |
| 400万円を超える金額 | 物件価格の3% |
400万円を超える物件は、「成約価格(税抜)×3%+6万円+消費税」といった速算式で計算できます。
この式にあてはめて計算を行うと、例えば成約価格3,000万円の物件の場合は105.6万円、4,000万円の場合は138.6万円となりますね。
登録免許税(表題登記費用)・司法書士依頼料
表題登記とは、新築物件などの登記記録のない不動産について初めてなされる登記のことです。
登記簿のなかでも不動産の基本的な情報を表示している部分を指し、その情報を登記する際にかかるのが表題登記費用です。
物件購入時の表題登記費用は「物件の固定資産税評価額 × 0.4%」とされていますが、令和9年3月31日までに自身の居住用の住宅用家屋の取得を行った場合には、軽減税率が適用され、「固定資産税評価額 × 0.15%」で算出することができます。
司法書士依頼料は、司法書士に登記を代行してもらうための依頼料です。
住宅ローンの借入額や物件の規模により金額も増減しますが、一般的に10万円前後となるでしょう。
(参考:国税庁|登録免許税の税額表)
不動産取得税
不動産取得税とは、建売(分譲)住宅を購入した際にかかる一度きりの税金です。
納税通知は、住宅を取得したときから半年から1年後ほどで手元に届きます。
不動産所得税の基本的な計算式としては、「課税標準額 × 3%」となります。
ただし、新築物件にかかる不動産取得税は、軽減措置の適用により発生しないこともあります。
事前に費用がかかるかどうかを知りたい場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談しましょう。
(参考:東京都主税局|不動産取得税)
固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税とは、土地と建物を所有している人に毎年課せられる税金です。
建売(分譲)住宅を購入する際は、1年分の土地の固定資産税・都市計画税を売主が支払っているため、引き渡し日を基準にして日割り精算をすることとなっています。
また、住宅を取得した後は、固定資産税・都市計画税を毎年納めなければいけません。
固定資産税は物件・土地の評価額などから算出され、3年に1度のタイミングで見直されますが、例えば物件価格4,000万円ほどの新築住宅の場合は、1年目は15〜20万円程度が一般的です。
各税額の算出方法は、以下の通りです。
| 固定資産税 | 固定資産税評価額×1.4%(自治体ごとの税率) |
| 都市計画税 | 固定資産税評価額×0.3%(自治体ごとの税率) |
固定資産税額も住宅用地・新築住宅特例といった軽減措置が利用できることがありますので、事前に条件を確認し、申告を行うと良いでしょう。
>>関連コラム「固定資産税が高い?計算方法や軽減措置について」建売(分譲)住宅にかかる諸費用の内訳:住宅ローン借入時
住宅ローンを利用して建売(分譲)住宅を購入する場合、住宅ローン借入時には以下の諸費用が別途かかります。
● 印紙税
● ローン保証料・団体信用保険料
● 融資事務手数料
● 火災保険・地震保険
住宅ローンを借りるときにかかる各諸費用の概要や相場を見ていきましょう。
| 費用の項目 | 金額の目安・算出方法 |
| 印紙税 | 契約金額により増減 |
| ローン保証料 | 一括の場合50〜100万円程度 |
| 団体信用保険料 | 金利に含まれているのが一般的なため別途支払いなし |
| 融資事務手数料 | 2〜5万円程度 |
| 火災保険・地震保険 | 火災保険のみの一括払いで10~30万円程度 |
印紙税
2章でご紹介したように、印紙税は金融機関との「金銭消費貸借契約書」にもかかるため、購入前だけでなく、ローン契約時にもかかることになります。
こちらでは軽減税率は適用されないということも、今一度認識しておきましょう。
税額は、不動産契約の場合と同様です。
ローン保証料・団体信用保険料
ローン保証料とは、住宅ローンで保証会社を利用する際にかかる手数料です。
保証料は金融機関によって変わります。また、支払うタイミングも、一括支払いと分割支払があります。
一括であれば50〜100万円程度、分割の場合は金利に0.2〜0.4%を上乗せすることが一般的です。
団体信用生命保険は、住宅ローンの返済中、契約者に万が一のことがあったときに、住宅ローン残高がゼロになる保険です。
この保険料は金融機関に支払う金利に含まれていることが多いため、別途支払うケースはほぼありません。
しかし、保険料を別途支払う場合もあります。それは、オプションとして三大疾病やガン特約を通常の保険に付帯する際、金利に0.2〜0.3%を上乗せするケースです。
融資事務手数料
融資事務手数料とは、住宅ローンの申込や契約にかかる手数料のことです。 都市銀行や地方銀行では2〜5万円程度、ネット銀行やフラット35では借入金額×2%程度がかかります。
火災保険・地震保険
金融機関は住宅ローンを利用する条件として、ほぼ必須で火災保険の加入を求めます。
一方、地震保険の場合は任意で加入してもらうのが一般的です。
火災保険・地震保険料は、建売(分譲)住宅の所在地や保険会社、また補償プランによって異なります。
目安としては、火災保険のみ保険期間5年での一括払いで10万〜30万円ほどとなりますね。
月々払いや年単位での支払いも可能ですので、家計に合った保険を選びましょう。
諸費用とは異なる?手付金とは
建売(分譲)住宅の購入時に、こちらも住宅価格とは別でかかるものとして、手付金の存在があります。
これは売買契約を結ぶ際に購入価格の一部を支払うというもので、契約をキャンセルした場合でも、基本的に返金はされません。
契約がそのまま進めば購入代金の一部に充当されるため結果的には別途費用ではなく、諸費用としてはカウントされないことが多いでしょう。
ただし、原則現金支払いとされていることが多いため、現金での用意が必要であることは覚えておきましょう。
金額は不動産会社・ハウスメーカーによって異なりますが、目安としては購入価格の5〜10%ほどと言われていますね。
住宅価格・諸費用以外にかかる費用
資金計画を立てる際、住宅価格以外に考慮しなければならないのは、実は諸費用だけではありません。
住居を移すことによって生じる可能性がある、以下の費用も準備しておきましょう。
● 引っ越し代
● 家具・家電などの購入費
● インターネット回線の引き込み費用 など
これらはどの程度荷物があるか、家具・家電を持ち込むかなどでも大きく変動します。
資金計画には余裕を持ち、ある程度のブレには問題なく対応できるようにしておくと良いですね。
4,000万円の新築一戸建てで諸費用をシミュレーション
実際に4000万円の建売(分譲)住宅を購入する場合を想定し、以下にシミュレーションを算出しました。
【前提条件】
● 物件価格:4,000万円
● 自己資金:100万円
● 住宅ローン借入金額:3,900万円
● 都市銀行にて借り入れ
● 返済方式:元利均等返済、ボーナス払いなし
● 返済期間:35年
| 諸費用名 | 諸費用例(税込) |
| 仲介手数料 | 138.6万円 |
| 印紙税(売買契約書) | 1万円(軽減措置の適用) |
| 融資事務手数料 | 3.3万円 |
| 保証料(一括前払い) | 80万円 |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 2万円 |
| 火災保険+地震保険料 | 15万円(5年間の一括支払い) |
| 表題登記費用 | 6万円(軽減税率の適用) |
| 司法書士依頼料 | 80万円 |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 10万円 |
| 固定資産税等清算金 | 5万円 |
| 不動産取得税 | 0円(軽減措置の適用により、 不動産取得税が発生しないケースで計算) |
| 合計 | 260.9万円 |
大まかなシミュレーションの結果、諸費用の合計は260.9万円となりました。
物件価格4000万円の約6.5%です。
一番多くかかる費用は仲介手数料で、次に保証料です。
保証料は住宅ローンを組む金額を減らしたり、期間を短縮させることで減額できますので、諸費用を節約したい場合は検討しましょう。
また、軽減措置の適用によって不動産取得税が発生しないことは、建売住宅を購入するうえで大きなメリットです。
築年数が古い住宅だと20万円以上かかることもありますので、建売(分譲)住宅の購入が諸費用の節約に貢献したといえます。
※あくまでシミュレーションですので、参考値としてお考えください。
諸費用をローンに組み込むことはできる?諸費用の支払い方法
シミュレーションからも分かる通り、諸費用は合計するとかなりの金額になることもあります。
現金での支払いが難しい、不安があるという方も中にはいるでしょう。
その場合、諸費用はローンに組み込んだりすることは可能なのでしょうか。
主な諸費用の支払い方法についてご紹介します。
資金から支払う
まずは、最も一般的で、長期的な経済的負担軽減という点でおすすめなのは、自己資金から契約時など発生タイミングですべて支払ってしまうという方法です。
もちろん資金の少ない状態で無理に支払ってしまい新生活開始時に不安がある、という状況になってしまうのは良くないですが、総支払額や月々の返済額の軽減を考えるとメリットのある方法です。
住宅ローンに組み込む
利用する金融機関にもよりますが、諸費用の一部は、住宅ローンに組み込める場合もあります。
その分借入額が大きくなるため利息負担による総支払額増などのデメリットはありますが、他のローン商品と比較すると金利が低いため、自己資金での支払いが難しい場合には検討しても良いでしょう。
また、住宅ローンは引き渡し時に実行されることになるため、その前に支払う必要がある
● 印紙税
● 不動産取得税
といった諸費用項目は基本的に組み込むことができませんので注意しましょう。
諸費用ローンを組む
住宅ローンとは別途で、諸費用ローンを契約するという方法もあります。
こちらも金融機関によっては取り扱いがあるかどうかは異なります。
諸費用ローンを組む場合には、住宅ローンとはベつの契約となってしまうため、登記費用が担保が必要な場合には二重に登記費用が掛かってしまうという可能性もあります。
また、一般的に住宅ローンよりも金利が高いため、使用は慎重に検討しましょう。
建売(分譲)住宅の諸費用を安く抑えるポイント
ご紹介したように諸費用としては様々なものがかかり、総額となると大きな金額になってしまいます。
諸費用をできるだけ安く抑えるために、次の大きく2つのポイントを意識しましょう。
● 金融機関選び
● 火災保険選び
それぞれ詳しく解説します。
金融機関選び
まず、金融機関選びは慎重に行いましょう。
住宅ローンにかかる保証料、事務手数料は金融機関によって異なります。
適用される手数料や保証料が金融機関によって変わりますので、最適な金融機関を選ぶことができれば、諸費用を安く抑えることが可能です。
住宅ローンを選ぶ際には、かならず複数の金融機関に申し込むようにしましょう。
火災保険選び
火災保険選びも、諸費用を抑える上では重要なポイントです。
火災保険は、付帯する特約によって金額が大きく変わります。
たとえば、河川に近い立地の建売住宅を購入する際は水災に関する特約を入れるべきですが、そうでないエリアの場合は、特約を省くことで費用を抑えることができます。
このように、火災保険に加入する保険会社やプランを厳選し、諸費用をできるだけ抑えるようにしましょう。
火災保険も複数社に見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
まとめ
今回は、建売(分譲)住宅を購入する際にかかる諸費用について、その内訳や相場、また安く抑えるポイントまで詳しくご紹介しました。
住宅購入時には物件にかかる費用だけを考えてしまいがちですが、、手数料や税金など支払う対象が物件以外にも多くあるため、物件価格だけでなく、諸費用を含めた総額を意識して検討する必要があります。
物件ごとの諸費用が気になる場合には、不動産会社にシミュレーションをしてもらうのもひとつの手です。
不動産会社選びからローンを借りる金融機関選び、加入する火災保険選びまで、それぞれ複数社をしっかりと比較しながら決定し、余裕のある資金計画を立てるようにしましょう。






