年収300万の住宅ローン返済額はいくら?
審査時や物件選びのポイント解説
住宅ローンを検討するにあたり「年収が300万円しかないけどローンを組むことはできるの?」というお悩みを持っている人が多いと思います。
実は、注意するべき点をしっかりと押さえれば、年収300万円の人でも住宅ローンを組むことは可能です。本記事では、年収300万円の人が住宅ローン審査に通るコツや物件の選び方について解説します。
年収300万でも住宅ローンは借りられる

年収300万円でも住宅ローンを借りることは可能です。実際に年収300万円の人が住宅ローンを借り入れ、住宅を購入しているケースはあります。
とはいえ、年収300万円で住宅ローンを借り入れている人は少数派だといえます。2023年4月調査「住宅ローン利用者の実態調査」によると、全国の住宅ローン利用者の7.3%が年収400万円以下となっており、年収300万円台の人でも住宅ローンを借りることは可能ですが、比率が低いということがわかります。
よって、年収300万の場合、住宅ローンによる毎月の返済額が多いと生活に支障が出てしまうため、無理のない返済計画を立てることが重要です。
年収300万の住宅ローンは返済額がいくらになる?
年収300万円の人が住宅ローンを組む場合、実際に返済する額を把握しておかなければいけません。ここでは、返済負担率から返済額を考えてみましょう。
住宅ローンの返済負担率とは「収入に占める年間の返済額の割合」のことをいいます。返済負担率が低いほうが生活にゆとりを持って返済することが可能です。一般的に理想とされている返済負担率は20〜25%です。
年収300万円の場合、返済負担率20%は年間60万円、月々5万円です。また、25%の場合は年間75万円、月々6.25万円となります。実際の返済額は各家庭状況によって変わるため一概にはいえませんが、年収300万円の人が返済にあてられる金額は月
々5〜6.25万円程度が理想といえるでしょう。
年収300万で住宅ローンの借入上限
年収300万円の人は、実際にどれくらいに金額を金融機関から借りられるのでしょうか。ここでは、年収倍率と返済負担率の2つから借入上限を算出します。
年収倍率による借入上限
借入上限を求めるひとつめの方法は、年収倍率からの計算です。年収倍率とは、借り入れたい金額が年収の何倍かを示す数値です。
一般的に、住宅ローンの借入額は年収の5〜6倍程度が相場となっています。したがって、年収300万円の人の借り入れ上限を年収倍率から計算すると、約1500〜1800万円の住宅ローンを借り入れられることになります。
返済負担率による借入上限
つぎに、返済負担率から借入上限を求める方法です。返済負担率は以下の方法で算出されます。
金融機関では、住宅ローン審査の際、審査金利を3%で計算することが多く、年収300万円の場合は返済負担率を25〜30%を上限に設定します。
実際に以下の条件から借入上限を計算します。
・年収300万円
・借入期間35年
・審査金利3%
返済負担率 | 借入額 |
20% | 約1,300万円 |
25% | 約1,650万円 |
30% | 約2,000万円 |
このように、金融機関が設定した返済負担率から計算をすると1,300〜2,000万円という借入上限が算出されました。ただし、借入上限は各金融機関によって変わりますので、あくまで目安として理解してください。
年収300万で住宅ローンの審査を通りやすくする方法

年収300万円の人でも住宅ローンを借り入れることは可能ですが、しっかり準備をしておかなければ審査に落ちることもあります。ここでは、住宅ローンの審査を通りやすくする方法4点を紹介します。
頭金をできるだけ入れる
頭金とは、住宅ローンで借り入れる金額とは別に、現金で手元に持っているお金のことです。住宅ローン審査に落ちる理由として、頭金が少ないということがあります。
頭金を十分に用意して住宅ローン審査にのぞむことで、審査に通りやすくなります。さらに、頭金を入れることで借入額を減らすことができれば、毎月の支払い負担の軽減も期待できます。
配偶者の年収を合算する
住宅ローンは1人だけの名義ではなく、夫婦の共有名義で借りることができます。年収300万円の人だけでは住宅ローンの審査に通らない場合、夫婦の年収を合算して住宅ローン審査に申し込みましょう。
たとえば、夫婦ともに年収300万円の場合、300万円+300万円で年収600万円として住宅ローン審査が受けられます。そうすれば、借入金額が増えるのに加え審査が通りやすくなるのです。
配偶者の年収を合算する際の注意点としては、万が一離婚した場合でもトラブルにならないよう、住宅の持ち分についてしっかり話し合うことです。
フラット35を利用する
フラット35とは、住宅金融支援機構と各金融機関が連携して取り扱っている全期間固定金利型住宅ローンのことです。フラット35の特徴は、民間の金融機関の住宅ローンに比べて、審査が柔軟なことです。
つまり、フラット35であれば、年収や勤続年数、雇用形態に不安がある人でも審査に通る可能性があるのです。金融機関が取り扱っている住宅ローンでは審査が心配だという人は、フラット35の審査にチャレンジしてみると良いでしょう。
予め複数の銀行に相談しておく
住宅ローン審査を申し込む金融機関はひとつとは限りません。各金融機関によって審査基準が異なっているため、ひとつの金融機関で審査が通らなくても他で通る可能性があるのです。
実際に「A銀行とB銀行で審査に落ちたがC銀行で通った」というケースは多数存在します。このように、あらかじめ複数の金融機関に相談しておき同時に申し込むことで、審査が通る可能性が広がるでしょう。
ローンを組めば住宅ローン控除が受けられる

宅ローン控除を活用することで、よりお得に住宅ローンを組むことができます。住宅ローン控除とは、住宅ローンを利用した際に受けられる減税優遇措置のことです。
住宅ローン控除では、13年間(既存住宅および増改築は10年間)にわたり年末の住宅ローン残高の0.7%が所得税から控除されます。さらに、控除しきれなかった分は住民税から還付されることとなります。
新築住宅で住宅ローン控除を受ける場合の条件は以下のとおりです。
・住宅の引渡し日または工事の完了から6ヵ月以内に居住すること
・合計所得金額が2,000万円以下であること
・住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上が自身の居住用であること
・10年以上にわたるローンがあること
・居住用にした年とその年の前後2年ずつを合わせた計5年間に、居住用財産の譲渡による長期譲渡所得の課税の特例といった適用を受けていないこと
また、中古物件を購入する際に住宅ローン控除を利用する際は、築年数の条件などが追加されますので、購入前に確認することを忘れないようにしましょう。
年収300万で物件を選ぶときのポイント
年収300万円の人が物件を選ぶときに、新築や中古、マンションや戸建て住宅など、何をポイントにして選ぶとよいのかを解説します。
中古よりも新築住宅がおすすめ
年収300万円の人が物件を選ぶときは中古住宅よりも新築住宅を選ぶことがおすすめです。
新築住宅のメリットとして以下があげられます。
・資産性が高いため借入額が伸びやすい
・新築なので住み心地が良い
・住宅ローン控除を13年間受けられる
年収300万円の人の場合、希望の借入額に届かないことが多く、頭金を多く用意する必要があります。しかし、新築住宅であれば資産価値(担保評価)が高いため、より多くの借入額で住宅ローンを組むことができます。さらに、住み心地や住宅ローン控除が有利になる点も大きなメリットです。
新築住宅のデメリットとしては、中古と比較したときの物件価格です。立地や間取りなど、条件によっては手が届かない場合があるということです。
一方、中古住宅のメリットとして、下記があげられます。
・物件価格が安い
中古住宅は価格が安く、購入しやすいことが最大のメリットです。
中古住宅のデメリットは以下のとおりです。
・リフォーム代が別途必要になる場合がある
・資産性が低いため借入金額が伸びにくい
中古住宅は、新築住宅と比較して資産価値(担保評価)が低いため、希望の借入金額に届きにくいことが最大のデメリットといえます。
このように、住宅ローン審査においての有利性や住宅ローン控除額の観点から、年収300万円の人は新築住宅がおすすめです。
マンションよりも戸建てがおすすめ
さらに、新築住宅にはマンションか戸建てかの選択肢がありますが、年収300万円の人には戸建てがおすすめといえます。
戸建てのメリットとして下記があげられます。
・管理費、修繕積立金、駐車場代(ガレージ代)などがかからないので返済負担率が合いやすい
・独立した住戸のため、騒音が気にならない
戸建の場合、毎月の管理費や駐車場代は必要ありません。よって、住宅ローン以外のランニングコストが少ないため、生活にゆとりを持たせることができます。
戸建てのデメリットは、外壁や屋根のメンテナンスはすべて自分で行う必要があることです。15年〜20年に一度は建物のメンテナンスを行わなければいけませんので、計画的に準備するようにしましょう。
反面、マンションのメリットは以下のとおりです。
・建物の管理は管理会社が行っているため安心
・セキュリティに優れている
マンションは管理会社が管理する安心感や、オートロックによるセキュリティ面がメリットです。
マンションのデメリットは、このようなものがあります。
・返済負担率が合わず借入額が伸びにくい
・上下左右階への騒音の配慮が必要
マンションには管理費、修繕積立金、駐車場代がかかるため、住宅ローンの返済負担率が上がってしまうことが大きなデメリットです。それにより融資希望額に届きにくいのです。
このように住宅ローンが借りやすく独立住戸で住みやすいという点が、年収300万円の人に戸建てをおすすめする理由です。
まとめ
年収300万円の人でも住宅ローンを組み住宅を購入することは可能です。しかし、資金計画や住宅ローンを組む上での準備をしっかりと行うことが重要です。この記事を参考に、住宅ローンの準備をしてみてください。
そして、無理のない返済計画や、将来必要になるお金などさまざまなケースを想定し、新築住宅の購入を検討しましょう。