暮らしのコラム

2023年12月14日

新築住宅を購入する際、固定資産税を経費として計上する場合はどの勘定科目に該当するのか、仕訳方法はどうすれば良いのか、などの疑問を持つ方が多いと思います。固定資産税の勘定科目や適切な仕訳方法を知れば、節税対策につながります。
この記事では、固定資産税の勘定科目や仕訳方法、固定資産税を安くするための方法を解説します。固定資産税の経費計上でお困りの方はぜひ参考にしてみてください。

固定資産税の勘定科目は?

固定資産税とは、1月1日時点で所有している土地や建物、機械などの固定資産に課せられる税金で、市区町村に納める地方税です。固定資産税を支払った際の勘定科目について解説します。


租税公課

結論からいうと、固定資産税の勘定科目は「租税公課」として計上されます。租税公課とは、個人の所得や会社の利益の金額に関係なく賦課される税金のことです。ただし、企業の利益によって課税額が変わる法人税や個人の所得税は租税公課に該当しません。

租税

租税とは、国や地方公共団体が公共サービスや公共財を提供するために徴収する税金です。法律に基づいて国民から強制的に徴収する税金のため、個人や法人の所得には関係ありません。租税には固定資産税のほかに、登録免許税、不動産取得税、自動車税、印紙税などがあります。

公課

公課とは、租税以外に国や地方公共団体が徴収するお金です。具体的には、住民票などを発行するための手数料や交通反則金などがあげられます。

固定資産税は経費になる?

固定資産税は租税公課という勘定科目に分類されることがわかりましたが、経費として計上できるのでしょうか。ここからは、法人と個人事業主の観点から解説します。

法人が固定資産税を支払った場合

固定資産税は法人税法で経費として認められているため、経費計上が可能です。また、業務で使用している車の自動車税も経費として計上することができます。

個人事業主が固定資産税を支払った場合

個人事業主が支払った固定資産税も経費として計上できます。注意点としては、自宅を公私兼用にしている場合、事業での利用分と私用での利用分に応じて全体を按分しなければいけないという点です。たとえば、自宅の1/3を事務所として利用している場合は固定資産税の1/3が経費として認められるということです。

固定資産税の仕訳方法は?

固定資産税の仕訳方法には、以下の2つの方法があります。
・固定資産税の金額が決まった日(賦課決定日)に仕訳を行う
・実際に固定資産税を支払ったときに仕訳を行う
それぞれを具体的に解説します。

1.固定資産税の金額が決まった日(賦課決定日)に仕訳を行う

固定資産税の賦課決定日に経費で処理する場合は、まず未払金として固定資産税の全額を貸方に計上します。

※固定資産税が30万円の場合

借方 金額 借方 金額
租税公課 300,000円 未払金 300,000円

そして実際に支払った分だけ未払金を借方に計上して取り崩します。


借方 金額 借方 金額
租税公課 75,000円 未払金 75,000円

固定資産税は原則4回に分けて支払うことになるため、固定資産税が30万円である今回は1回の支払いが75,000円になり、このような計上を4回に分けて仕訳を行います。
法人の場合、支払う固定資産税が高額になるため、賦課決定日に一旦未払金として計上し、その後分割で支払うことが一般的となっています。


2.実際に固定資産税を支払ったときに仕訳を行う

一方、固定資産税を実際に支払ったときに仕訳を行う場合は、一括で支払った日に、支払った金額で計上します。

※固定資産税が30万円の場合

借方 金額 借方 金額
租税公課 300,000円 未払金 300,000円

個人事業主が固定資産税を支払う場合、この方法を利用して仕訳を行うことが一般的です。経理事務の組織化がされていない個人事業主は、この方法を利用する方が楽だという理由からです。。

固定資産税は安くできる?

固定資産税額は、固定資産税課税標準額に税率(1.4%)を乗じて算出されることになっています。固定資産税課税標準額とは、各市区町村が決定する評価額のことで市場に売り出される販売価格とは異なる金額です。ここからは、固定資産税額を抑える方法について解説します。


減免制度を利用する

固定資産税は、減免制度を利用することで安くできることがあります。

住宅用として利用されている土地は、小規模住宅用地の特例が適用されるため、固定資産評価額が6分の1に軽減されます。もし1戸あたり200平米の小規模住宅用地の範囲を超えていても固定資産評価額が3分の1になります。
また、「新築住宅に係る税額の軽減措置」では、新築住宅にかかる固定資産税を3年間(マンション等の場合は5年間)半額まで減額されます。さらに住宅が長期優良住宅の場合は5年または7年、軽減措置が継続されます。
このように、固定資産税の減免措置にはさまざまな制度がありますので、自身が適用される制度を調べてみましょう。


課税標準額の算定方法を変更する

固定資産税を抑えるためには、課税標準額の算定方法を変更するという方法もあります。課税標準額の算定方法には以下の2通りがあります。
・路線価方式
・固定資産課税台帳方式
それぞれを詳しく見ていきましょう。


路線価方式

路線価方式とは、道路に「固定資産税路線価」を設定し、その価格を基に道路に接する土地の評価額を算出するという仕組みです。
路線価方式は「固定資産税路線価 ✕ 土地面積 ✕ 評点 = 固定資産税評価額」で計算されます。評点とは、土地の形などに応じた補正のことです。たとえば、「固定資産税路線価:1㎡当たり20万円」「土地面積:200㎡」「評点:0.8」の場合は、「20万円×200㎡×0.8=3200万円(固定資産税評価額)」となります。


固定資産課税台帳方式

固定資産課税台帳方式とは各自治体が作成する、土地・家屋の所在、所有者、評価額などが登録された帳簿で固定資産税を算出する方法です。固定資産課税台帳は、土地課税台帳、家屋課税台帳、土地補充課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳で構成されています。この台帳を閲覧できるのは、固定資産税の納税義務者と同居している家族、納税義務者から委任を受けた代理人です。

固定資産税評価の再評価を申請する

通知された固定資産税額が明らかにおかしいと感じた際は、納税通知書が交付されてから3ヶ月以内であれば、固定資産評価審査委員会へ不服申し立てをすることができます。もし、課税する側のミスで固定資産税を多く支払ってしまった場合は、還付請求により過払い分を返還してもらうことができます。

注意点は、納税通知書が届いてから3ヶ月が経過すると申し出ができなくなる点です。固定資産税評価額が間違っていると何年にもわたり不当な税金を納めなければならないので、早いうちの対応を心がけましょう。


固定資産税評価額の減額を申請する

固定資産税は、一定の要件を満たせば減額の申請をすることができます。たとえば、災害により不動産に被害があった場合、固定資産税の減額・免除の対象になります。被害面積が土地面積の10分の8以下や建物が全壊ではなく破損で済んだ場合は、減税措置の可能性があります。また、被害面積が土地面積の10分の8以上や建物が全壊した場合には、固定資産税は免税となります。この制度は各自治体によって対応がさまざまのため、被害を受けた場合は各役所へ問い合わせると良いでしょう。

さらに、生活扶助を受けている場合や生活に困窮しているなど、税金を納めることが困難で一定の要件を満たす場合、固定資産税の減免を受けられることがあります。上記の通り、どうしても固定資産税を支払うことが困難な場合は、すぐに役所へ相談し対応してもらうようにしましょう。


固定資産税を分筆する

広い土地を所有している場合、同じ土地の中でも交通アクセスの良い立地とそうでない立地があっても、全体が立地の良い土地として評価されることがあります。その場合に、全体を立地の良い土地と悪い土地に分筆することで、固定資産税評価額を下げられる可能性があります。このように、うまく分筆することで支払う固定資産税を抑えることができますので、広い土地を所有している人は活用してみましょう。

固定資産税を相続する

被相続人から財産を相続した際、残された債務や借入金を遺産総額から差し引くことが可能です。そのため、被相続人が亡くなった年の1月1日時点で固定資産を所有していれば、納税義務者は被相続人のため、相続税の申告で遺産から差し引くことができるのです。このような債務控除もうまく活用して固定資産を抑えられるようにしましょう。

まとめ

今回は、固定資産税の勘定科目や仕訳方法に関して解説しました。固定資産税の勘定科目は公租公課にあたり、仕訳方法は事業規模や税額によって柔軟に対応しなければいけません。また、固定資産税を少しでも抑えるために、減免制度や申請方法を理解しておきましょう。
新築住宅を購入すると固定資産税を納付する義務が発生します。もし、住宅の一部を事業用として利用する場合は、経費として計上することで所得税や法人税を抑えることができます。本記事を参考に、固定資産税を適切に処理しましょう。

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