固定資産税が高い?
計算方法や軽減措置について
1. 土地や建物にかかる固定資産税はいくら?

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産(車両やパソコンなどの備品)などにかかるもので、取得の翌年から建物と土地に対する固定資産税の納付義務が課せられるものです。毎年1月1日時点での所有者が対象となり、年4回に分けて所有する不動産のある自治体に納税することになります。
その金額は下記のような式で算出されます。
固定資産税 | 課税標準額×1.4%(税率) |
「課税標準額」とは、所有する固定資産の評価額のことです。固定資産の評価額は、自治体ごとに基準があり、土地や家屋の価値などをもとに決定されています。
土地の評価額は「実勢価格の70%程度」が目安と言われています。たとえば実勢価格1,000万円の土地の場合、評価額は約700万円。その1.4%でだいたい9万8,000円くらいが、土地にかかる固定資産税という目安になります。
一方、建物の場合、その評価額の目安は「建築工事費の50%〜70%」ほどと言われています。建物が2,000万円とすると、評価額は1,000万円~1,400万円くらい。その1.4%の14万円~19万6,000円くらいが目安になります。
なお、土地が市街化区域内にある場合は、固定資産税と合わせて「都市計画税」も課せられ、セットで支払うことになります。都市計画税は、
都市計画税 | 固定資産税評価額×0.3%(税率) |
という式にしたがって算出されます。
分譲住宅を購入した場合、土地と建物、それぞれにかかる固定資産税、都市計画税を合計した金額を毎年、支払うことになります。購入後の最初の納税の時期は、翌年の4〜6月です。その分も見越して、資金を用意しておくことを忘れないようにしましょう。
2. 固定資産税を軽減する措置とは

「そんなに税金がかかるのか」と気が重くなった方もいるかもしれませんが、住宅の場合、固定資産税には、負担を軽減するために特例措置が適用されます。
「小規模住宅用地」と「一般住宅用地」に大別され、下記のように軽減の割合が異なります。
住宅用地の種別 | 固定資産税 | 都市計画税 |
小規模住宅用地 (一戸あたりの面積が200㎡以下の住宅用地) |
固定資産税評価額×1/6 | 固定資産税評価額×1/3 |
一般住宅用地 (一戸あたりの面積が200㎡を越える住宅用地部分) |
固定資産税評価額×1/3 | 固定資産税評価額×2/3 |
そのほか、「新築住宅特例」という軽減措置もあります。新築住宅にかかる固定資産税を軽減する制度で、国土交通省によると「良質な住宅の建設を促進し、居住水準の向上及び良質な住宅ストックの形成を図るため」という目的によるものです。
住宅部分の床面積が50㎡以上280㎡以下(一戸建て以外の賃貸住宅の場合、40㎡以上)が対象になります。一定の要件を満たす場合に、住宅部分(120平方メートルまでの部分に限ります。)の税額の2分の1の額が減額されます。ただし都市計画税には適用されません。
令和6年度税制改正の大綱で、その対象を「令和8年3月31日までに新築された住宅」にすると発表されました。減額の期間などは下記のようになります。
一般住宅 | ・一般の住宅:新たに課税される年度から3年間、2分の1に減額 ・3階建以上で耐火構造の住宅:新たに課税される年度から5年間、2分の1に減額 |
長期優良住宅 | ・一般の長期優良住宅:新たに課税される年度から5年間、2分の1に減額 ・3階建以上で耐火構造の長期優良住宅:新たに課税される年度から7年間、2分の1に減額 |
つまり長期優良住宅のように性能の高い分譲住宅を購入すると、一般の住宅よりも長期に軽減措置が適用されるのです。性能が高くて快適に住めるだけでなく、光熱費がコストダウンでき、さらに固定資産税までお得になるというわけです。
3. 固定資産税の軽減措置には申告が必要です
ただし、固定資産税の軽減措置を受けるためには、不動産を取得した翌年の1月31日までに、市区町村の窓口に申告書を提出しなければなりません。
住宅用地の特例措置を受ける場合は「固定資産税住宅用地申告書」、新築住宅特例を受ける場合には「固定資産税減額申告書(新築住宅)」を提出することが必要です。
この期限を過ぎてしまうと、軽減措置を受けることができなくなってしまいます。忘れないように手続きしましょう。
固定資産税の軽減措置を適用するためには、住宅の種類や土地面積など細かな条件があります。固定資産税の納付後に届く、納税通知書をチェックして、申請内容との相違がないか、よく確認することをお勧めします。
4. 税制優遇や補助金でお得に家を購入することも可能に
固定資産税を単体でみると、負担が大きいように感じるかもしれません。しかし、住宅を購入すると、ほかにも以下のような税制優遇や補助金制度を利用することが可能です。
・契約締結時の印紙税の軽減措置
契約金額500万円超1,000万円以下 | 税額1万円→5,000円に減額 |
契約金額1,000万円超5,000万円以下 | 税額2万円→1万円に減額 |
契約金額5,000万円超1億円以下 | 税額6万円→3万円に減額 |
契約金額1億円超5億円以下 | 税額10万円→6万円に減額 |
※軽減措置は2027年3月31日まで
土地:4万5,000円もしくは土地1平米あたりの固定資産税評価額×1/2×住宅の課税床面積の2倍(200平米まで)×3%、いずれか高い金額が土地の税額から軽減されます。
建物:通常の住宅では、固定資産税評価額から1,200万円の控除。認定長期優良住宅等では固定資産税評価額から1,300万円の控除。
長期優良住宅&低炭素住宅:2024年入居の場合、子育て世帯・若者夫婦世帯では、借入上限額5,000万円に対し、最大控除額35万円/年。
その他の世帯では、借入上限額4,500万円に対し、最大控除額31.5万円/年。
ZEH水準省エネ住宅:2024年入居の場合、子育て世帯・若者夫婦世帯では、借入上限額4,500万円に対し、最大控除額31.5万円/年。
その他の世帯では、借入上限額3,500万円に対し、最大控除額24.5万円/年。
省エネ基準適合住宅:2024年入居の場合、子育て世帯・若者夫婦世帯では、借入上限額4,000万円に対し、最大控除額28万円/年。
その他の世帯では、借入上限額3,000万円に対し、最大控除額21万円/年。
いずれの場合でも2025年も同様の措置が検討されています。なお、省エネ基準に適合しない新築住宅は控除の対象外となるのでご注意ください。
そのほか、長期優良住宅やZEH水準住宅などを対象に、国や自治体から補助金が支給される制度もあります。住宅の仕様や申請時期などの要件を満たせば、お得に住宅を購入することができます。
分譲住宅を購入すると固定資産税などの支払い義務が生じることになりますが、税制優遇や補助金などのメリットもあり、負担は大きく軽減することが可能です。
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