インタビュー

ポラス建築デザイナー 野村 壮一郎氏 へのインタビュー(2nd.INTERVIEW)

小さな物件から大きな開発まで

 ポラスでは地域密着でやっております。埼玉県と東京の一部と千葉県の一部です。このような狭いエリアをやっておりますので、そこにお住まいの皆様と一緒に街を良くしていきたいという思いでやっております。
 私たちの事業は色々な事業地が入ってくるのですが、そこには100棟もあるような大きな街もあれば、2棟ぐらいの小さな街もあり、それがもう順不同に次々とやってきます。それをよくしていくために何が起こるかというと、色々な場所に点在して私たちの作った街が出来上がって、それが数珠つなぎのようになり一つの風景を作っていくような、そういう街づくりを目指しております。
 簡単に言うとそれぞれの場所は小さな場所ですが、それが次第にそのエリア全体を囲むようにしていくと、あそこにもここにもポラスの街があって、例えば散歩する人達が見て行くと「ここにもあったね。あそこにもあったね」とよく言われるんですね。そういった時に、それぞれの場所にあうようなデザインをしていくと、「あそこはこういう街だったが、こちらはまた違うデザインなのだな」というように、結構ポラスのこと認知していらっしゃるお客様が多いので、それを意識してデザインをしております。それが「住まい価値創造企業」と私たちは標榜しているのですが、「それぞれの価値って何だろう?」と考えた時に、やはり「地域を良くする」、そこに尽きるかなと思っております。


邸別設計の話 / 土地付き建物から街づくりへ

 分譲住宅というのは、一般的なイメージでは同じものが連続して建っていて、効率良くつくるようなイメージだと思いますが、私達の場合は、その土地それぞれの特性に応じてプランを変えています。
 同じ場所にあっても土地の形、あるいは向かい側にある風景、そういうものを意識して窓の位置を考えたりするのですが、それプラス、やはり今のお客様の多様なニーズと言いますか…家族構成もだいぶ違いますし、働き方も様々な方がいらっしゃいますので、そこに合わせてつくっていきます。さらに自分達が「作りたい!」というものを少しプラスしていくと、自然に違うものが出来上がってくるのです。そこが邸別に作っているという特徴になってると思います。
 色々なお客様がいらっしゃった時に、「自分の好きな家かどうか?」という事を見つけてもらうためには、同じような間取りだけですとなかなか絞り込みができません。そうすると、土地の良し悪しだけの選択肢になってしまいます。あと価格ですよね。「家を選ぶ」という形ではなく、「場所だけを選んだ」という感じになってしまいます。それでは住まいに合わせて「お客様が生活を変える」というカタチになってしまうので、これは少し良くないな…と。
 昔はそういうことが多かったです。「場所は良いけど少し家は…だけど、どうしてもこの学区がいいからここに住みたいな」ということで我慢して買ってくださった方もいらっしゃいますが、それでは良くないということになり、様々な方に向けたデザインを考えました。私たちの場合はチームに色々な年代、また性別も、女性もいれば男性もいて、結婚している者、独身の者もいたり…。全員で色々なアイディア出して作ってますから、間取りがたくさん生まれてくるんですね。アイデアと言いますか…デザインもそうですし。それによって色々なものをつくっていくと、そこにマッチするお客様が必ずいらっしゃり、その方にお住まいになって頂く。それがいわゆる邸別設計の形になっております。

 私たちは建物のデザインをまず考えがちですが、分譲住宅の1番の特徴というのは「土地付き建物である」ということなんですね。契約書にも「土地付き建物」と必ず書いてある。「土地」と「建物」は一体なんですね。そうしますと、建物だけデザインしてもそこにマッチした土地がなかったり、あるいは区画割をどんなに頑張ってもそこにしっかりマッチする建物がないと上手くいかない。それぞれどちらかが良くてもだめ、同じぐらいお互いが良くないと駄目なんです。そういった意味でまず区画をデザインするのですが(区画のデザイン…街づくりの中で色々な建物がこ並んでいく様を考えていくこと)、それにくわえて「よい間取りが入るかどうか」と、その土地の形を決めていくんですね。それによって、その土地に一番マッチした建物が建つのです。
「土地と建物を一体にデザインするということ」が私たち分譲住宅の1番の特徴になっています。建物の形だけではなく、外回りのエクステリアのデザイン、あるいは植栽の配置など、すべてを連棟式に考えていくと一つの街が出来ていきます。それが分譲住宅ならではの街づくりの基本的な形になっております。


大きな街づくり、小さな街づくり

 大きな街並みになるとやはり「全体のロケーションとどのくらいマッチするか」ということを考えますね。例えば周辺の方々にとって、この街はどう映るか?などを意識します。また、それぞれ家の成り立ちというか立ち位置というか…自分の家だけではなく、周りの目にどう映るか?といういうことを考えてアイストップを決めたり、道路の入れ方などを決めていきます。
 逆に小さな街の物件になると、より1戸1戸の個性を強めてアピールする事が多いですね。これはデザインの仕方が少し違います。集合体としてのデザインと個々のデザインというのは若干やり方が違います。例えば、小さな物件で色々なアイデアを取り入れますが、それをまた大きな物件に取り入れたり、逆に大きな物件で得られたものを小さな物件にまた取り入れてみたり…。これは相乗効果でより一層よくなっていくので、そのような流れで現在やっております。


ポラスができてよかったと言われること

 もともと周りにの人にとって良い街をつくろうと思ったきっかけがあります。以前、非常に大きな物件があり、かなりコストも手間もかけてとても良いものを作ったつもりでしたが、そこに住んでいる方に「どうしても向かいの古い街並み(少し管理されてない感じ)が大変気になる。私たちは良いものを買ったつもりだが、玄関を開けると工場があったり…」と言われました。景観が非常に気になるということも、だいぶ前にお客様から言われたことがありました。「ああ、向かい側に何があるか」が、非常に大事なことなのだと思いました。そうすると、転じて他の人にとって「ポラス(の物件)が向いに建った時にどう思うのかな」と意識するようになりました。
 道行く人がポラスがつくった街を見て「あ、いいな」と言ってくださったり、物件完成後見に行った時に向かい側に住んでいらっしゃる方が「いいもの作ってくれたわね」って言ってくださったり、「夜も明るい街になって大変良くなった」とよく言われるようになりました。それが単純に嬉しく、やはり住む人だけではなく、「街づくりは公共のもの」と思ってデザインを考えています。周辺に住んでいる方にとっても、「ここができてよかった。ポラス(の物件)ができて良かった」と言ってもらえることが一番、何よりも嬉しい。それをやりがいにしております。


街は住むひとが良くするもの

 私たちは様々なデザインを考えて街を作っていく。色々な部署が一緒になり、環境が良いもの、デザインが良いものなどを考えてつくっていきますが、最終的には「街の良さ」は、そこに住むお客様が決めていくものかなと思います。
 その街に行った時に、人っ子一人誰もいないような街、あるいはみんなが談笑して道端で遊んでいたり、笑顔にあふれてる街。かたやシンプルな街だったり、かたや豪華な街。どちらがよいのかと考えると、やはりどんなに豪華に作っても、人のいない街というもの、それは街ではないわけですよね。
人が住んで初めて街になり、「その街を育てる」という感覚になっていくと―私たちはメンテナンスももちろんやりますし、お客様ともずっと長い付き合いになりますが―「その街のよさ」は、お客様が決める・お客様が作っていくものだと思うのです。ですから私たちは、お客様と一緒にその街を良くしていくための活動も当然やっています。「つくる」だけではなく、それによって街が着々と発展していく――よく、「成熟」という言い方をしますが、街の姿が「よくなっていくか」「すたれていくか」の違いというのは、住むお客様が決める。この意識は常に持っています。


間取りのトレンド、家族の時間のために

 今の家づくりというのは、まずコロナ禍をどう過ごすかということがメインの観点になっています。ただ、テレワークを意識してをつくっている物件もありますが、実際に「テレワークがずっと続くか?」というと、やはりお客様によっては「もうテレワークやってない」とおっしゃる方もいます。私たちは色々なメーカーさんとお付き合いがありますが、「まだテレワークをずっとやっています」という会社さんもあれば、「テレワークはせずにもう普通に満員電車乗っています」をいう人もいます。 ですから、テレワークのみにフィーチャーしてしまうと……。私たちは35年ローンを組んでお客様に買っていただくわけです。35年以上住んでいただくことを考えるとたったの2年間ぐらいの今の流行り(今回は「コロナ」という非常にマイナスな流行)にあまり影響されすぎていると、少し違うのかなと思うのです。
 ただ一つ。テレワーク、あるいはお子さまの場合休校になったり、家で授業を受けたりなど…。家にいる時間が非常に長くなりました。それによって家の価値というものが、大変大きく変わったと思います。今までは、「結婚」や「出産」、「(家が)手狭になった」など、必要に応じて家を買う方が多かったのです。すでに持家にお住まいの方も、これから家の購入を考えている方も、「家にいる時間をいかに楽しめるか」という感覚で、家を買う方が非常に増えたのです。ですから、以前は「庭もあまり使わない」「芝生もいらないから全部コンクリートにしてくれ」とおっしゃる方もいましたが、今は「庭をどう使えばいいのかアドバイスしてください」という話もいただきます。家にいる時間をいかに楽しめるか。それがこれからの家づくりの、大きなキーワードになると思います。

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