暮らしのコラム

2025年9月17日

不動産などの固定資産を所有していると、毎年支払わなければならないのが固定資産税です。
戸建てを購入した場合にも支払うことになるため、例えば住宅ローンを組み、ローン支払いを行いながら澄んでいるという場合には、毎月のローンと合わせて支払わなければならず、家計に与える負担は大きくなるでしょう。
それでは、もしも固定資産税が支払えなくなってしまった場合、固定資産税を払わないとどうなるのでしょうか。
対応の際に生じるリスクと支払えないときの対処法についてもご紹介しますので、これから新築住宅を購入するという人も、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

そもそも固定資産税とは?

冒頭でもご紹介したように、固定資産税は固定資産を所有している所有者に課される地方税です。
毎年1月1日の時点で固定資産を所有していると課税されるもので、各市町村によっても多少違いがありますが、基本的には4月〜6月ごろに届く納税通知書によって通知された額を、年4回に分けて納めることになります。
固定資産には、具体的に以下のようなものが該当します。
● 宅地や山林、田園などの土地
● 住宅や工場、店舗などの家屋
● 事業のために用いる構築物や運搬具、備品といった償却資産


固定資産税額の計算方法

固定資産税の額は、次の計算式で算出されます。

固定資産税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準的な税率)

課税標準額は固定資産税額を算出する基になるもので、自治体によって調査・算出されます。
土地にかかる税額は地価などをもとにした評価額で決められるため変動が少ないですが、建物は経年によって価値が下がっていくため、税額もそれに応じて下がっていきます。
詳しい計算方法は、以下の記事もご参考ください。


>>関連コラム「【2025年】一戸建ての固定資産税はいくら?平均額や軽減措置について解説」

固定資産税の支払い方法

固定資産税は主に以下のような方法で支払いが可能です。

● 現金払い
● 口座振替
● クレジットカード
● ペイジー支払い
● スマホ決済
● 電子マネー

自治体によって対応する支払い方法は異なりますので、事前に各自治体で確認しましょう。


固定資産税を払わないとどうなる?

もしも固定資産税を支払えなくなると、様々な方法で催告されます。
具体的に、どのような流れで催告があるのかを見ていきましょう。

督促状が届く・延滞金の加算

固定資産税の納付書が届いたにもかかわらず納付をしないと、まず督促状が届きます。
督促状は、支払い期限から20日以内に発行される書類です。督促状が届いたあとも滞納を続けると、次は催告状が届きます。

また、固定資産税を滞納すると延滞金が発生します。
延滞金は期限の次の日から発生するもので、本来の納税額に決められた割合をかけることで算出されます。
延滞金は自治体によって年率が違いますが、期限から1ヶ月を過ぎると延滞金の割合が高くなります。
例えば、東京都(中央区)での延滞金の割合は以下のようなものです。


納期限の翌日から1ヶ月を経過する日まで 2.4%
納期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降 8.7%

(令和4年1月1日から令和7年12月31日までの割合)

(参考:東京都主税局|都税の支払い方法について

財産(給与・預貯金)の差し押さえ

法的には、督促状が届いてから10日以内に固定資産税を納めなければ、財産(給与・預貯金)が差し押さえられることになっています。
預金が差し押さえられると、預金を預かっている金融機関に差押通知書が送られ、国や地方公共団体が滞納している税額に預金を充当することになります。 かつ、税金滞納によって預金を差し押さえられると、銀行との取引が停止になる可能性もあります。
さらに、預金がない場合は給与が差し押さえられます。
実際には滞納者が給与全額の差し押さえに承諾しなければ、全額を差し押さえられることはありませんが、毎月の給与の一定額を税金に充当されることとなります。


物件が公売にかけられる

固定資産税の滞納によって預金や給与が差し押さえられ、それでも納めきれなかった場合には、固定資産税の課税対象となっている土地や建物といった財産が差し押さえられます。 差し押さえられても直ちに退去する必要はありませんが、差押の登記がなされることで地方公共団体が強制的に土地や建物を公売し、その売却代金を滞納している税金に充てることとなります。
税金の滞納による公売には裁判所の許可は必要なく、家が公売にかけられた場合は強制的に退去させられます。

固定資産税の納付期限が過ぎてしまったら?

金銭的な問題で支払えない場合以外にも、納付書を確認したら納付期限が過ぎてしまっていた、納付書を失くしてしまったなど、うっかり支払い忘れてしまうというケースもあるかもしれません。
納付期限が過ぎてしまっていても、手元に納付書があれば金融機関・コンビニエンスストアなどで納付できる可能性もあります。
納付書が使用できるかを確認し、使用できそうであればすぐに支払いを行いましょう。
納付書がもう使用できない、もしくは失くしてしまったという場合には、すぐに自治体の窓口に連絡・もしくは直接赴き、納付書の再発行を依頼してください。
もちろん、滞納期間によっては延滞金がかかる場合もありますので注意しましょう。


払い忘れを防ぐ対策

上記のような払い忘れを防ぐために、最も確実なのは支払い方法を口座振替にしておくことです。
口座振替手続きを事前に行っておけば、銀行口座から自動的に引き落としされるため、支払い忘れた・納付書を失くしたなどのトラブルの心配がありません。
1章でもご紹介したように支払い方法は様々あり、例えばQRコード決済などで支払い予約ができるサービスなどが利用できることもありますので、対応可能であればそういったものを活用するのもおすすめです。


>>関連コラム「固定資産税はクレジットカードでも納付できる!その方法やメリットを解説」

どんなケースで固定資産税が払えなくなるの?

ここまで固定資産税を滞納するリスクについて解説しましたが、どのようなケースの場合に滞納が起こるのでしょうか。
ここからは、滞納が起こる3つのパターンを紹介します。


老後になって収入が減少したとき

固定資産税が支払えなくなる原因として、老後になって収入が減少することがあげられます。
これまで一定の収入があった人が、定年退職によって収入が減り固定資産税を滞納してしまうのです。
固定資産税は収入が減っても支払い続ける義務があるので、老後に向けての貯金や、場合によっては不動産を手放すなどの対策が必要です。


地価高騰によって固定資産税が上昇したとき

収入は変わらないのに固定資産税額が上がったことで、滞納してしまうケースもあります。
不動産の評価額が上がると同時に、納める固定資産税額が上昇するのです。
たとえば、所有している不動産の周辺で再開発が行われ、これまでにない人気エリアになることがあります。
この場合、人気エリアになることで移住者が増え、地価が上昇し固定資産税額が上がってしまいます。
固定資産税は、3年ごとの見直しで支払額が変わります。 建物の場合は築年数が経過するにつれて固定資産税額が下がりますが、土地は3年ごとの見直しで支払額が大幅にアップする可能性があります。
所有している不動産の周辺で再開発などが行われるときは要注意ですね。


親の不動産相続が発生したとき

不動産を相続することによる固定資産税の滞納もよくあるケースです。
相続した不動産であっても、固定資産の所有者となるため固定資産税を支払い続ける義務は免れません。
突然発生した相続に対応できず、固定資産税を滞納してしまうことがあります。
また不動産の相続には、場合によっては相続税が発生します。
相続税の支払いばかりに目を向けていると、その後に訪れる固定資産税の納付に対応できなくなることがあります。
そのため、相続の時期が近づいたタイミングで、不動産にかかる税金をしっかりと把握しておきましょう。

固定資産税が払えないときのNG行動

固定資産税が支払えないというときに一番してはいけないのが、支払わずにそのまま放置することです。
支払えない理由があるにもかかわらず何もしないと、納税する意思がないとみなされるのです。
税金が支払われないほど困窮している場合は、納付書や電話も無視したくなるものですが、差し押さえなどの最悪のパターンを考慮して、すぐに役所へ相談に行くことが重要になります。

固定資産税を払えないときの対処法

それでは、もしも金銭的な事情などで固定資産税の支払いが難しくなってしまった場合、どうすればよいのでしょうか。
できる対処法としては、
● 自治体の窓口に相談する
● 任意売却を検討する
という2つの方法があります。


自治体の窓口に相談する

まず、固定資産税を払えなくなった場合は、すぐに自治体窓口へ相談にいきましょう。
固定資産税の納付書や督促状に自治体の連絡先が掲載されていますし、役所にいくと適切な窓口の案内をしてもらえます。
自治体の窓口に相談することで、次のような様々な対処が行える場合があります。


分納できるか相談

固定資産税の支払い方法は、原則一括支払いか4回に分けての納付です。
しかし、事前に支払うことが困難だということを相談することで、分納を認めてもらえる可能性があります。
分納が認められれば、固定資産税の支払いを各月である12回に変更できます。
ただし、分納が認められた後に滞納してしまうと財産の差押が行われますので、注意が必要です。


減免制度の確認

災害など、特別な事情の場合には、状況によって固定資産税の軽減・免除ができる可能性もあります。
減免の割合は、どの制度を利用できるかや状況、また自治体によっても異なります。
利用できる減免制度に関しては、次章で詳しくご紹介します。

徴収猶予を受けられるか相談

徴収猶予とは、一定期間固定資産税の支払いを先送りにできる制度です。 この制度は災害や病気、事業の休業などで支払えない場合に適用されます。
2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響で収入が減少した人も徴収猶予が認められるケースもありますが、自己都合での徴収猶予は認められないケースがあるので、申請したい場合は自治体への確認を必ず行いましょう。


換価の猶予を受けられるか相談

換価の猶予とは、財産の差し押さえや公売が猶予される制度です。
換価の猶予期限は1年以内と決められており、その間は分納で固定資産税を納めることとなります。 しかし換価の猶予は、収入などの一定の条件や、税金を納付する誠実な意思が見られなければ認められません。条件の確認は各自治体に問い合わせるようにしましょう。


任意売却を検討する

今後も固定資産税の支払いが困難な場合は、不動産売却を検討しましょう。
公売にかけられる前に任意売却することで、自分の意思で売却を進めることができます。
任意売却は公売に比べ、相場に近い価格で売却できます。
そのため、手元に現金を残すことも可能で、次の住まい探しの足しになるでしょう。
さらに、タイミングによっては任意売却ではなく通常の売却が可能です。
役所や金融機関、不動産会社と連携して、最適な売却方法を選びましょう。

固定資産税を減税・免除できるか確認しよう

固定資産税の減免制度はいくつか存在します。 どんな制度があるのか事前に知っておき、該当する特例があればぜひ活用してみましょう。

所有不動産が災害にあったとき

不動産が震災や火災、台風などの災害にあった場合、固定資産税の減額・免除の対象になります。
具体的には、固定資産の被害面積が土地面積の10分の8以上や建物が全壊した場合、固定資産税は免税となります。
一方、被害面積が土地面積の10分の8以下の場合や、建物が全壊ではなく破損で済んだ場合は免税ではなく減税となる可能性があります。
もし、災害が原因で固定資産税が支払えないなど、災害で不動産に被害があった場合には、役所に確認してみることをおすすめします。


新築住宅の減税

新築住宅の場合、新築されてからの一定期間は固定資産税の減税措置を受けられます。
新築一戸建ては新築から3年間、マンションは5年間にわたり固定資産税額が2分の1となります。
これまで2024年3月31日までに新築された住宅が対象とされていましたが、2024年の税制改正により2026年3月31日まで適用期間が延長されたため、2025年現在も適用が可能です。
床面積などの条件があり、住宅によっては適用されない物件もあるため、この減税が適用されるかどうかが気になるときは不動産会社の担当者に問い合わせてみましょう。


>>Vol.70 関連コラム「新築一戸建ての固定資産税は減税可能!申請方法・時期・注意点も解説」

その他の減税制度

その他にも、2025年現在で利用できる固定資産税の減税制度には次のような様々なものがあります。
● 省エネ改修工事を行った場合に固定資産税が減額される省エネ改修促進税制(2026年3月31日までに工事を行った場合)
● バリアフリー改修工事を行った場合に固定資産税を減額できるバリアフリー改修促進税制(2026年3月31日までに工事を行った場合)
● 長期優良住宅の認定を取得した場合に利用できる減税措置(2026年3月31日までに工事を行った場合)
● 生活保護を受けている人の固定資産に対する減免

固定資産税額などに不備があるときは?

ミスが起こる確率は非常に低いとされていますが、万が一固定資産税額、また固定資産税の課税額を決める資産価値の評価に関して不服がある場合には、納税通知書を受け取ってから3ヶ月以内であれば、固定資産評価審査委員会に再審査の申し出を行うことが可能です。
また、固定資産の所有者に不備や不服があるなど、税額以外の事項で問題がある場合には、こちらも納税通知書を受け取ってから3か月以内であれば、その自治体の市町村長(東京23区であれば都知事)に審査を求めることができます。
再審査中でも期限までに一度決められた額を納めないと滞納とみなされてしまうため注意は必要ですが、再審査により税額が減額されれば、差額は払い戻されますので安心してください。

まとめ

本記事では、住宅などの固定資産にかかる固定資産税について、滞納するとどうなるのか、支払えなくなった場合の対処法とともに詳しくご紹介しました。
状況によって固定資産税の支払いが苦しくなった場合には、絶対に放置せず、すぐに自治体に相談して対処しましょう。
最悪の場合差し押さえなど、住処を失うことにもなりかねません。
特に新築住宅では、経年による税額の減少がある中古住宅に比べて、固定資産税の負担は大きくなりがちです。
新築住宅の減税制度なども活用しながら、資金計画はしっかりと立てておきましょう。

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