暮らしのコラム

2023年10月19日

固定資産税は、不動産の所有者が毎年支払わなければいけない税金です。住宅ローンを組みながら住んでいる場合、毎月の支払いと合わせて固定資産税を払わなければいけないので、家計の負担が大きくなります。

本記事では、固定資産税を支払えなくなるとどうなるのか、また支払えないときの対処法について解説します。これから新築住宅を購入する人も、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。

固定資産税を払えなくなるとどうなる?

固定資産税を支払えなくなると、さまざまな方法で催告されます。具体的に、どのような流れで催告があるのかをみていきましょう。


督促状が届く・延滞金の加算

固定資産税の納付書が届いたにもかかわらず、納付をしないと督促状が届きます。督促状は支払い期限から20日以内に発行される書類です。督促状が届いたあとも滞納を続けると、次は催告状が届きます。
また、固定資産税を滞納すると延滞金が発生します。延滞金は自治体によって年率が違いますが、期限から1ヶ月を過ぎると延滞金の割合が高くなります。
たとえば東京都の場合、納期限の翌日から1ヶ月を経過する日までの期間は税額の2.4%、納期限の翌日から1ヶ月を経過した日以降の期間は税額の8.7%の延滞金を、本来支払うべき税額とは別に納めなければいけません。 参照:東京都主税局(都税の支払い方法について「延滞金について」)
ただし、自治体や年度によって延滞金の年率は変わるため、過去の税金を納める場合は役所で確認しましょう。


財産(給与・預貯金)の差し押さえ

督促状が届いてから10日以内に固定資産税を納めなければ、財産(給与・預貯金)が差し押さえられることになっています。
預金が差し押さえられると、預金を預かっている金融機関に差押通知書が送られ、国や地方公共団体が滞納している税額に預金を充当することになります。かつ、税金滞納によって預金を差し押さえられると、銀行との取引が停止になる可能性もあります。
さらに、預金がない場合は給与が差し押さえられます。実際には、滞納者が給与全額の差し押さえに承諾しなければ、全額を差し押さえられることはありませんが、毎月の給与の一定額を税金に充当されることとなります。


物件が公売にかけられる

固定資産税の滞納によって預金や給与が差し押さえられ、それでも納めきれなかった場合には土地や建物といった財産が差し押さえられます。
差し押さえられても直ちに退去する必要はありませんが、差押の登記がなされることで地方公共団体が強制的に土地や建物を公売し、その売却代金を滞納している税金に充てることとなります。
税金の滞納による公売には裁判所の許可は必要なく、家が公売にかけられた場合は強制的に退去させられます。

固定資産税が払えないときのNG行動

固定資産税が支払えないときに一番してはいけないのが、支払わずにそのまま放置することです。支払えない理由があるにもかかわらず何もしないと、納税する意思がないとみなされるのです。
税金が支払われないほど困窮している場合は、納付書や電話も無視したくなりますが、差し押さえなどの最悪のパターンを考慮して、すぐに役所へ相談に行くことが重要です。

どんなケースで固定資産税が払えなくなる?

ここまで固定資産税を滞納する危険性について解説しましたが、どのようなケースの場合に滞納が起こるのでしょうか。ここからは、滞納が起こる3つのパターンを紹介します。


老後になって収入が減少したとき

固定資産税が支払えなくなるケースとして、老後になって収入が減少することがあげられます。これまで一定の収入があった人が、定年退職によって収入が減り固定資産税を滞納してしまうのです。
固定資産税は、収入が減っても支払い続ける義務があるので、老後に向けての貯金や、場合によっては不動産を手放すなどの対策が必要です。


地価高騰によって固定資産税が上昇したとき

収入は変わらないのに、固定資産税額が上がり滞納するケースもあります。不動産の評価額が上がると同時に、納める固定資産税額が上昇するのです。
たとえば、所有している不動産の周辺で再開発が行われ、これまでにない人気エリアになることがあります。この場合、人気エリアになることで移住者が増え、地価が上昇し固定資産税額が上がってしまいます。
固定資産税は、3年ごとの見直しで支払額が変わります。建物の場合は築年数が経過するにつれて固定資産税額が下がりますが、土地は3年ごとの見直しで支払額が大幅にアップする可能性があります。所有している不動産の周辺で再開発などが行われるときは要注意です。


親の不動産相続が発生したとき

不動産を相続することによる固定資産税の滞納もよくあるケースです。相続した不動産であっても固定資産税を支払い続ける義務は免れません。突然発生した相続に対応できず、固定資産税を滞納してしまうことがあります。
不動産の相続は、場合によっては相続税が発生します。相続税の支払いばかりに目を向けていると、その後に訪れる固定資産税の納付に対応できなくなることがあります。
そのため、相続の時期が近づいたタイミングで、不動産にかかる税金をしっかりと把握しておきましょう。

固定資産税を払えないときは自治体窓口に相談

固定資産税を払えなくなった場合は、すぐに自治体窓口へ相談にいくことが重要です。固定資産税の納付書や督促状に自治体の連絡先が掲載されていますし、役所にいくと適切な窓口の案内をしてもらえます。


分納できるか相談

固定資産税の支払い方法は、原則一括支払いか4回に分けての納付です。しかし、事前に支払うことが困難だということを相談することで、分納を認めてもらえる可能性があります。
分納が認められれば、固定資産税の支払いを各月である12回に変更できます。ただし、分納が認められた後に滞納してしまうと財産の差押が行われますので、注意が必要です。


徴収猶予を受けられるか相談

徴収猶予とは、一定期間固定資産税の支払いを先送りにできる制度です。
この制度は災害や病気、事業の休業などで支払えない場合に適用されます。2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大の影響で、収入が減少した人の徴収猶予が認められるケースもありますが、自己都合での徴収猶予は認められないケースがあるので、申請したい場合は自治体への確認をかならず行いましょう。


換価の猶予を受けられるか相談

換価の猶予とは、財産の差し押さえや公売が猶予される制度です。換価の猶予期限は1年以内と決められており、その間は分納で固定資産税を納めることとなります。
しかし換価の猶予は、収入などの一定の条件や、税金を納付する誠実な意思が見られなければ認められません。条件の確認は各自治体に問い合わせるようにしましょう。


難しければ売却を検討する

今後も固定資産税の支払いが困難な場合は、不動産売却を検討しましょう。公売にかけられる前に任意売却することで、自分の意思で売却を進めることができます。
任意売却は公売にくらべ、相場に近い価格で売却できます。そのため、手元に現金を残すことも可能で、次の住まい探しの足しになるでしょう。
さらに、タイミングによっては任意売却ではなく通常の売却が可能です。役所や金融機関、不動産会社と連携して、最適な売却方法を選びましょう。

固定資産税を減税・免除できるか確認しよう

固定資産税は減税・免除ができる制度があります。自分が条件に該当しているかを確認し、少しでも負担が減るように活用しましょう。


所有不動産が災害にあったとき

不動産が震災や火災、台風などの災害にあった場合、固定資産税の減額・免除の対象になります。
具体的には、固定資産の被害面積が土地面積の10分の8以上や建物が全壊した場合、固定資産税は免税となります。一方、被害面積が土地面積の10分の8以下の場合や、建物が全壊ではなく破損で済んだ場合は免税ではなく減税となる可能性があります。
もし、災害が原因で固定資産税が支払えないということであれば、役所に確認してみることをおすすめします。


新築住宅の減税

新築住宅の場合、新築されてからの一定期間は固定資産税が減税されます。
新築一戸建ては新築から3年間、マンションは5年間にわたり固定資産税額が2分の1となります。ただし、この減額措置が利用できるのは、2024年3月31日までに建築された住宅のみですので注意が必要です。
しかし、新築住宅によっては、適用されない物件もあります。固定資産税の減税が適用されるかどうかが気になるときは、不動産会社の担当者に問い合わせてみましょう。


>>Vol.70 関連コラム「新築一戸建ての固定資産税は減税可能!申請方法・時期・注意点も解説」

まとめ

毎年支払う固定資産税は家計に大きな負担がかかるので、支払いが苦しくなることがあります。その際は絶対に放置せず、すぐに自治体へ相談し分納などの措置を取ることが大切です。
固定資産税の滞納は、生活する場所を奪われることにつながるので、甘くみてはいけません。
とくに新築住宅は、中古住宅にくらべて固定資産税の負担が大きいので、購入の資金計画をしっかり立てることを心がけましょう。

用地募集
☆新着物件 物件を探す
このページのトップへ戻る