金利の低さで選ぶかリスク管理を優先するか

「変動金利」「固定金利」のメリット・デメリット

住宅ロ—ン利用者のうち7割以上が変動金利型

住宅ロ—ンの金利タイプには「変動金利型」と「固定金利型」があります。さらに固定金利型には「全期間固定型」と「固定金利期間選択型」があります。

変動金利型は、市場の金利動向などに合わせて年に2回金利が変動します。住宅金融支援機構の2022年4月の調査では、住宅ローンの利用者のうち、7割以上が変動金利型を選んでいます。

全期間固定型は、住宅ロ—ン契約時の金利が返済完了までの全期間変わりません。そのため、契約時に総返済額が決まります。

固定金利期間選択型は、例えば、当初5年や10年など決まった期間は固定金利で、その後の期間は金利が変更になります。

途中から変動金利型となるため、変動金利型の一種と考えてもいいかもしれません。

変動金利型は金利が低く設定されている

変動金利型の最大のメリットは、現時点では固定金利より金利が低く設定されていることです。

例えば、みずほ銀行では、変動金利(ロ—ン取扱い手数料型)の基準金利(店頭金利)は2.475%ですが、各種割引後の適用金利(優遇金利)では0.375%~0.675%となります。全期間固定金利(35年)の場合は1.33%~1.43%で、変動金利の方が1%前後低く設定されています(2022年7月現在)。このため、変動金利型は毎月の返済額を少なくしたいという人に向いています。

全期間固定金利型は総返済額が契約時に決まる

変動金利型のデメリットとしては、金利が変動するため、総返済額が確定していないことがあります。今後の金利動向によっては、予想外に金利が上昇し、返済額が増加してしまう可能性があるということです。毎月の返済額に余裕がない場合に返済に無理が生じる恐れがあります。

固定金利期間選択型も、当初選んだ期間が過ぎると金利が変わるため、メリット・デメリットは変動金利型と同様と考えていいでしょう。

全期間固定金利型のメリットは、契約時に総返済額が決まるため、マネ—プランが立てやすいということです。変動金利型では、予想外の金利上昇でマネーブランを見直す自体になるかもしれません。全期間固定金利型では、契約の時点で住宅ロ—ンの支払額を確定できるため、安心感があります。変動金利型よリ返済額が多くなる可能性がありますが、その差額を「保険」と考えて「リスク管理」を優先するという考え方もできます。

また、金融機関は限定されますが、一定期間後に金利が下がっていく「ステップダウン型」もありますのでチェックしてみましょう。

それぞれのマネ—プランによってどちらかを選ぶ

「元利均等返済」「元金均等返済」のメリット・デメリット

返済タイプには元利均等返済と元金均等返済がある

返済タイプには「元利均等返済」「元金均等返済」があります。毎月の返済額は「元金」と「利息」をあわせて返済していますが、元利均等返済は元金と利息の合計が毎月同じとなるように設定されています。また、元金均等返済は、元金を毎月均等に返済し、その分の利患を毎月の返済額に加えるという方法です。通常、元利均等返済が設定されているので、多くの人は元利均等払いを利用していますが、どちらを選ぶかによって毎月の返済額と総返済額が変わってきますので、それぞれのメリツト・デメリットを理解して選択するようにしましょう。

元利均等返済は毎月の返済額が変わらない

元利均等返済のメリットは、金利が変わらない限りは、毎月の返済額が変わらないため、返済計画が立てやすいということがあります。毎月同じ額を返済するということで事前に返済計画を立てやすく、さらに安心感もあります。特別な理由がなければ、元利均等払いを選ぶことで、安定したマネ—プランを実現できることが大きなメリットとなります。

ただし、返済開始当初は元金の返済より利息の返済の割合が多くなるため、元金が減少する割合が少なく、総返済額が元金均等返済より多くなるということがデメリットとして考えられます。

元金均等返済は総返済額が少なくなる

元金均等返済は、元金を均等に返済するため、返済当初はロ—ン残高が多いので支払う利息も多くなり、毎月の返済額は元利均等返済よりも多くなりますが、元金が減るスピードは元利均等返済よりも速くなるので、結果として総返済額は少なくなります。

将来的に収入に不安があるので余裕のあるうちにできるだけ返済したいという人は、元金均等払いを選ぶことで、将来のリスク管理につながります。

例えぱ、「フラット35」で3,000万円を借り入れ、金利1.51%固定で35年返済の場合、元利均等払いでの総返済額は約3,864万円、元金均等払いでは約3,794万円と70万円ほどの差となります。

当初返済額は、元利均等払いで毎月92,008円、元金均等返済では当初109,178円と約17,000円の差ですが、11年目になると毎月の支払いは98,392円となり、この差額が支払えるなら、元金均等払いを選択することで総返済額を減らすことができます。

例えば、返済開始の時期に教育費が多く必要な人は元利均等返済を選ぶなど、元利均等返済と元金均等返済のどちらを選ぶかは、返済開始当初から10年程度の収入の安定度やマネ—プランの状況によって判断するといいでしょう。

各金融機関で設定される金利引き下げ

優遇金利は「当初期間優遇」と「全期間優遇」の2種類

基準金利は金利の定価、優遇金利は割引価格

住宅ロ—ンには、基準金利(店頭表示金利)があります。基準金利とは、その金融機関が貸し出すときの基準となる金利のことで、言い換えると「金利の定価」のことです。しかし、実際に住宅ロ—ンを貸し出すときには基準金利から「優遇金利」が引かれ、割り引きされた金利が適用されます。これが「適用金利」で、「優遇金利」とは割引率のことです。

優遇金利には適用の条件があり、例えば、その金融機関に給与振込ロ座を開設したり、公共料金の引き落とし口座に指定する、クレジット力—ドの発行や指定期日までに住宅ロ—ンを契約するなど金融機関によって決められた条件に台うと適用されます。また、ホ—厶ベージなどで公表されている優遇金利は〇%~〇%という幅のある数字となっていますが、これは住宅ロ—ンの審査に合わせて適用金利が決まるためで、蕃査の結果が出るまでは適用金利が分かりません。

なお、住宅ロ—ンの申し込み条件や、優遇金利が適用される条件などについて、金融機関のホ—厶ペ—ジで判断できなければ、金融機関のコールセンタ—に問い合わせるといいでしよう。

当初期間優遇と全期間優遇がある

優遇金利には「当初期間優遇」「全期間優遇」の2種類があります。

当初期間優遇では借り入れ当初の一定期間優遇金利が適用され、期間が終わると優遇福が少なくなったり、優遇金利が適用されなくなります。

全期間優遇では、返済期間中は一定の優遇金利が適用され変更されることはありません。

当初期間優遇は借り換えか繰り上げ返済を検肘

当初期間優遇では、一般的に全期間優遇より、優遇金利が大きく投定されています。借り入れ当初は返済額が少ないため、返済に余裕がない、または、その分で教育費や余裕資金を貯めたいと考える人に向いていると言えるでしょう。ただし、一定期間が過ぎると返済額は増えることになるので、適用金利やマネ—プランを検討して、メリットがあるなら繰り上げ返済や借り換えを考えておいてもいいかもしれません。

全期間優遇ではロ—ンの返済期間中は優遇金利が適用されるため、基準金利に変動がなければ返済額は一定になります。そのため、計画的にロ—ンを返済するのに適していると言えます。また、一般的に、全期間優遇より当初期間優遇の方が優遇幅が小さく設定されていますが、住宅ロ—ンは長期間かけて返済するので、当初の短い期間だけの優遇より、全期間の長い期間の優遇のほうが、適用金利と優遇期間によっては返済額があまり変わらなくなる場合もあります。それぞれの条件でシミュレ—夕をつかって比較することが大切です。

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